社説:【参院選】辺野古移設 唯一の選択肢は本当か

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 沖縄県民が知事選や衆院補選、さらに県民投票でも「辺野古の新基地ノー」を突きつけたのに、安倍晋三政権は工事を続けている。

 国土の1%に満たない沖縄県に、全国の米軍専用施設(基地)の約70%が集中している。

 安全保障は日本全体の問題なのに、沖縄ばかりが基地負担を引き受けるのは不平等だ-。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐる国と沖縄県の対立は、重大な問いを投げかけている。

 住宅地に密接する普天間飛行場は「世界一危険」とされ、政府は移設先として「辺野古が唯一の選択肢」と主張し続けている。本当にそうだろうか。

 自衛隊出身で元防衛相の森本敏氏は「抑止力が発揮できる場所なら必ずしも沖縄でなくてもいい」と述べている。

 1950~60年代にかけて、岐阜や山梨など、本土にあった米軍基地が地元の基地反対運動で沖縄に集約された経緯がある。

 この当時、沖縄県は米軍統治下にあり、基地の増加に抵抗できなかった。

 本土移設には反対が予想されるから、すでに基地が集中する沖縄を「唯一」と説明しているのは明らかだ。

 沖縄県の玉城デニー知事は国に工事の中止と話し合いを求めている。

 安倍首相は「沖縄県に寄り添う」と繰り返すが、それなら工事を止め、本当に「辺野古が唯一」かどうかを議論すべきだ。

 辺野古の予定海域では極めて軟弱な地盤が見つかった。国は情報公開請求されるまで隠していた。

 国は大規模な地盤改良工事が必要と認めたものの、当初2310億円とされた総工費や5年の工期がどこまで拡大するのかについては言及を避け続けている。

 総事業費や工期の見通しがたたないのに税金が投じられている。異常事態というほかない。

 安倍政権は常に「安全保障は政府の専権事項」というが、「地元の頭越しに何でもできる」と勘違いしているのではないか。

 住民の反感と反発に囲まれた軍事基地が、正常に機能するとは思えない。

 各党は、辺野古移設に対する姿勢を明確にしているが、それだけでは物足りない。

 日本全体で安全保障をどう引き受けるのか、積極的に語ってもらいたい。