護憲の社民 背水の陣 政党維持へ「特効薬ない」

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長崎市中心部で街頭演説する吉田氏(左)=鉄橋

 21日投開票の参院選に、社民が法律上の政党要件を懸けた“背水の陣”で臨んでいる。自民が9条改憲を公約に掲げる中、護憲を前面に打ち出してきた老舗政党は、被爆地で自衛隊などを抱える長崎県でも支持拡大に躍起だが、“特効薬”は見つからない。
 12日、長崎市内であった社民の集会。「厳しい戦いだが、反転攻勢をかけようじゃないか」。長崎県入りした参院選比例候補の吉田忠智前党首が声を張り上げると、約300人の会場から大きな拍手が巻き起こった。参加者の一人は「社民をなくすわけにはいかないという思いの人が集まった」と鼻息を荒くした。
 公職選挙法は、「政党」を▽所属国会議員5人以上▽直近の衆院選か参院選で全国得票率2%以上-のいずれかを満たすものと定義。政党要件を失うと、法の規制などで選挙活動も不利になる。今回の参院選で、社民は選挙区、比例に擁立した計7人のうち2人以上が当選するか、得票率2%以上の達成が必要だ。直近の2017年衆院選での全国得票率は1.69%。政党支持率は低迷し、旧社会党の流れを受け継ぐ老舗政党が置かれた現状は厳しい。
 長崎県でも、党勢の衰退は否めない。旧党時代には石橋政嗣委員長を輩出した佐世保では、4月の市議選で議席数が3から2へ減少。ポスト争いで存在感を示すため、旧党時代を含め戦後70年以上続いた社民会派の看板を下ろし、国民民主の会派に合流した。結党以来護憲を掲げ、被爆地長崎や基地の町佐世保で反戦、平和運動をけん引してきた社民。旧党時代から支持しているという長崎市の元教師、熊江秀彦さん(83)は「子どもたちに憲法の大切さを教えてきたが、安倍政権によって壊されようとしている。護憲派の社民がなくなると困る」と党の存続を願う。
 組織の高齢化も課題だ。6月の県連定期大会。県議を引退した吉村庄二氏は県連代表を退き、後進に道を譲ろうと考えていたが、組織の弱体化が影響して再任された。吉村代表は「若い人に引き継げる体制ができていないといけないのだが」とぼやく。支持者は「立憲民主と比べて古い党と思われている」と自嘲する。
 選挙区では野党の候補者一本化に協力し、国民民主新人の白川鮎美候補を推している。6日に国民の玉木雄一郎代表が佐世保入りした際も社民市議がビラを配るなどした。ただ、ある社民関係者は「ほかの野党もいるので『比例は社民』とも言えない。思い切り活動ができず、もやもやしている」と嘆く。
 吉田前党首を迎えた集会の後、県連は選対委員会を開催。正念場の戦いに坂本浩幹事長は終了後、「最後まで頑張るようお願いした。こつこつ続けるしかない」と厳しい表情を浮かべた。支持団体・個人から地道に支持を広げていくしかない状況に、もどかしさもにじませる。「特効薬はない。あるなら飛び付くんだが…」