ハードなダートにもオシャレキャンプにも大活躍!|VW ティグアン TDI 4MOTION 試乗レポート

VW ティグアン TDI 4MOTION

ハードな林道を難なく駆け抜けることができる実力

右足の親指をグッと曲げるだけの踏力を微かにかけると、フォルクスワーゲン ティグアン TDI 4MOTIONは、ディーゼルターボのトルクを指先の力分だけ路面に伝え、ぬかるんだ林道の坂道で確実に歩を進めた。

なんて頼もしいんだろう!

VW ティグアン TDI 4MOTION

ここは群馬県は中之条町にある「秋鹿大影林道」。東京から2時間足らずでたどり着いた、全長約13kmの未舗装路だ。調べてみると群馬県では二番目の長さを誇り、かなりのメジャーな林道であるという。

とはいえ筆者(とモータ編集部K氏)は、林道ビギナー。試乗会ではオフロードコースを走り、ラリーやダートトライアルのまねごとをしたことはあるけれど、大自然の中に作られた天然コースは初めてだった。

おまけに前日は大雨が降り注ぎ、山側からは少なからず土砂が崩れた跡がある。コースには試乗会スタッフがいるわけでもなく、フォルクスワーゲンも、よくこんな所を自由に走らせたものだよね? とK氏とふたりで顔を見合わせ笑い合った。キャンプに着いて聞いた話だが、VWの担当氏はドキドキものだったそうである!

VW ティグアン TDI 4MOTION

VW ティグアンは最高のパートナーとなってくれる存在

しかしだからこそ、ふたりのオジサンには少年の心が宿った。未知の林道を、時には木々を乗り越えて、これを引きずり、ときにはリアタイヤをムズムズさせながら走るのは、ちょっとした冒険だ。

「キャンプ場」と書かれた看板に大きく×印が重ねられていたのを見間違えてミスコースもした。岩に気をつけながら細い道をバックする。道を間違えたおかげで美しい小川の流れに遭遇した。鳥の鳴き声に、しばし聞き入る心地良さ。

陥没した道路には水たまりがあり、絶好の撮影ポイントになった。学校の帰り道、わざと長靴でこれに飛び込む小学生のような気分だ。

そんなときティグアンは、最高のパートナーになった。

VW ティグアン TDI 4MOTION

筆者はこのTDI 4MOTIONには少なからず触れており、性能の確かさについては何度も書き記している。しかし今回のような“生きた道”を走ることで、ことさらリアルにその性能を理解することができたのである。

いや、それはもはや、オフロード性能の高さに対する評価を飛び越えた、キャラクターの理解だったと言える。ひとで表せばこのティグアンTDI 4MOTION、とっても優しい力持ちである。

VW ティグアン TDI 4MOTION

目的地に余裕をもってたどり着ける安心性能

街中での快適な乗り心地。高速道路での高い直進性を基軸にした素直なハンドリング。

しかしこれだけでティグアンの魅力を言い表すことはできない。

未知の林道を走るときのちょっとした心細さを包み込む、柔らかい乗り味。そして確かなボディの剛性感。

オフロードといえばラダーフレームと長足の組み合わせがテッパンと頭デッカチになりがちだが、モノコックでもよく走る。バネ下ではタイヤが上手に動き、サスペンションがショックを吸収してくれる。

VW ティグアン TDI 4MOTION

急な下り坂では、ヒル・ディセントコントロールのありがたみを心から実感した。土砂にまみれた滑りやすい路面を見てまずロータリーダイヤルをオフロードモードに。するとティグアンは、テストコースで試したときと同じように、4輪にブレーキを掛けながらゆっくりと坂道を下ってくれるのである。

“ゴゴゴ、ゴゴゴ……”。床下から聞こえて来るブレーキの作動音。足下への神経を必要以上に使わず(一応スタンバイはしているのだ)、ハンドリングに集中できるのは本当にありがたい。

フォルクスワーゲン車の乗り味はあまりに自然で、クルマに主張を持ちたいユーザーには「刺激が足りない」と語られることもある。しかし今日のようなシチュエーションを味わってしまうと、「だからこその乗り味」だとわかる。

目的地に着くまでの快適で優しい乗り心地は、本来の目的であるアクティビティを目一杯楽しむだけの余裕を残してくれる。今回のような、林道ビギナーにとってはちょっと厳しいコンディションでも、緊張感をしいらず無事に目的地までたどり着かせてくれる。

VW ティグアン TDI 4MOTION

主役である乗り手を包み込む優しい道具感

この優しい道具感は、本格オフローダーともまた違う。

持てる地力を声高に謳わない包容力こそが、フォルクスワーゲン車の魅力である。

だからこそキャンパーはもちろん、海外ではエクストリームスポーツに興じるアスリートや、サーファーたちからも愛されているのだろう。

VW ティグアン TDI 4MOTION
VW ティグアン TDI 4MOTION

林道を無事に抜けると、四万川ダムの絶景が拝めた。つづら折りの峠道を駆け抜けてほどよく疲れた体は、2リッターディーゼルターボのトルクと、アダプティブ・クルーズ・コントロールの連携が癒やしてくれた。

実にゆったりとした、しかし刺激的な小旅行だった。

VW ティグアン TDI 4MOTION
VW ティグアン TDI 4MOTION
VW ティグアン TDI 4MOTION

キャンプ地に着いて、夜は宴となった。

スモークベーコンを何度も頬張り、ピザを生地からこねて焼き上げる。到着した他チームとは、ビールを酌み交わしながら林道の話題で盛り上がった。最高に、楽しい夜が訪れた。

主役はあくまで、ボクたちなのだ。

ティグアンは、それを改めてボクに教えてくれた。

[筆者:山田弘樹/撮影:MOTA編集部]

プロのコーディネイトが光る『フォルクスワーゲンでキャンプ』

今回の試乗会での宿泊先は、群馬県北軽井沢のオートキャンプ場「スウィートグラス」。浅間山のふもと、浅間高原に広がる敷地内に、コテージやテントサイト、ツリーハウスなど、さまざまな形で宿泊できる設備が整えられている。

VW ティグアン TDI 4MOTION

テントが設営できる林間サイトでは、VW パサート オールトラックをメインに、テントやテーブル、チェアなどをディスプレイ。

VW 4MOTION CAMP
VW 4MOTION CAMP

圧倒的な積載力を誇るステーションワゴンボディのパサートをベースに、車高アップと4モーション(全輪駆動)化したクリーンディーゼルモデルのオールトラックは、まさにこんなキャンプ場に最適。ルーフボックスやサイドオーニングを装備すれば、充実したキャンピングライフが楽しめることだろう。

VW ティグアン TDI 4MOTION
VW ティグアン TDI 4MOTION

取材班が選んだ車両はVW ティグアン TDI 4MOTIONだったが、VW パサート オールトラック TDIで林道を通ってきたチームもあり、まったく問題なく走り抜けることができたようだ。

© 株式会社MOTA