“免許返納”後 高齢者の「足」は・・・ 快適自転車&電動カート試乗 長野

運転免許の自主返納が増える中、改めて注目されているのが自転車と電動カート。気軽に移動できる高齢者の「足」。その実力を体験してきた。

長野市のホームセンター。熱心に自転車を見て回る男性が・・・。

(金子勇さん)「乗り降り楽だ」

91歳になる金子勇さん。2年前、運転免許を返納した。今の「足」は専ら自転車でこの日は、扱いやすい自転車はないかと店に足を運んだ。

(金子勇さん)「車は歳でやめちゃった。もう危なくて。ひざが痛いからね、なるべく低くて乗り降りが楽なものをみている」

今、金子さんのようなお年寄りが増えている。

(90歳男性)「自主返納をお願いしたい」

県内でも増える運転免許の自主返納。
去年は5年前の3倍以上の7200人余りに上った。相次ぐ運転ミスによる事故もあり返納数はさらに増えていくと予想される。

(90歳男性)「これですっきりしました。免許が完全にないわけだから」

6月に返納したこちらの90歳の男性も電動アシスト付き自転車に乗り換えた。通院や買い物はこれで行くという。

販売する側も高齢者の足として「自転車」を重視するようになっている。

(宮本アナウンサー)「こちら電動アシスト自転車に、奥にいくと三輪車もありますね、このようにシニア向け自転車のコーナーが今、充実しているんです」

こちらのホームセンターは「高齢者向け自転車」のコーナーを設けています。免許返納の影響か、4月から先月までの売り上げは去年の同時期と比べなんと、およそ「6倍」にのぼっている。

(綿半若里店・吉岡政則フロアーマネージャー)「高齢者の自動車事故が増えていて、今度、試乗会も行うが問い合わせが増えている」

先月から取り扱いを始めたのがこちらの自転車、その名も「こげーる」。

主な特徴は3つ。①姿勢を安定させる腰当て付き ②足を高く上げなくても済むように限界まで下げたフレーム ③そして漕ぎ出す力を極力抑えるギアの設定

(綿半若里店・吉岡政則フロアーマネージャー)「3段変則が着いているんですけど、3段が普通、2段が軽い、1段が超軽いということで漕ぎやすくなっている」

(宮本アナウンサー)「超軽いはどれくらい軽いですか?」

(綿半若里店・吉岡政則フロアーマネージャー)「普通の自転車の感覚では半分くらい」

実際に試乗してみた。

(宮本アナウンサー)「ギアが軽いので走り出しが軽い。ほとんど足の力が必要ない。乗っていて1番感じるのは、背もたれがとても効いていて、安定感がとても増すので乗っていて怖さを感じることはないです。スタートが軽いのでぐらぐらとばたつくことがなくスムーズに発進できます。高齢者にとっては非常に助かる1台かもしれません」

冒頭で紹介した91歳の金子さんもだいぶ、気に入ったようだ。

(金子勇さん)「これいいよ」

綿半若里店では7月13日から3日間、「こげーる」の試乗会を開いた。

注目されているのは自転車ばかりではない。

(宮本アナウンサー)「高齢者の足として今、この電動カートも注目を集めているんです」

自動車メーカー「スズキ」が30年以上前から販売している「セニアカー」。もともと県内は山間地が多いため、電動カートの利用者は全国上位クラス。そこに免許返納の影響も加わっているようだ。

(スズキ自販長野 電動車いす課・島田修課長)「返納して車を降りてしまわれた方が、後の移動手段として選ぶことが増えている」

操作は簡単。

(スズキ自販長野 電動車いす課・島田修課長)「(レバーを)下に押し下げていただくと押し下げている間動く、離すことによって止まる」

(宮本アナウンサー)「発進の仕方がとてもスムーズで自分が歩いている感覚と同じですね。座席は車のシートに座ってる感じがあって安定感があって怖さを感じない」

スピードは時速6キロまで。人間の歩くほどの速さ。小回りも効く。停止は・・・。

(宮本アナウンサー)「すーっと。戻すとほとんど衝撃がなくスムーズに止まることができます」

安全装置としてとっさにレバーを握れば緊急停止も。上り坂も快適。免許も要らず操作も簡単。あくまで扱いは「歩行者」。

(スズキ自販長野 電動車いす課・島田修課長)「歩行者としてみなされますので、歩道があれば歩道を、歩道がない場合は原則右側を」

公共交通機関と違い、気軽に出かけられる自転車や電動カート。免許返納後、家族が勧めるケースも多く今後、さらに注目を集めそうだ。

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