ブランパンGT:ザントフールト勝者はAKKA ASPとサンテロック。プロ・アマの濱口弘組は連勝

 ヨーロッパを転戦するブランパンGTシリーズの第6戦が7月12~14日、オランダ・ザントフールトで行われ、AKKA ASPチームの88号車メルセデスAMG GT3(ビンセント・アブリル/ラファエル・マルチェッロ組)が土曜のレース1で優勝。翌日実施されたレース2ではサンテロック・レーシングの25号車アウディR8 LMS(クリストファー・ハーゼ/シモン・ガシェ組)が制している。
 
“エンデュランスカップ”とスプリントシリーズの“ワールドチャレンジ・ヨーロッパ”という、特徴の異なるふたつの選手権で構成される2019年のブランパンGTシリーズ。その第6戦は舞台は、オランダを代表するサーキットとして知られるザントフールトだ。

 2020年にF1が開催されることが決定した同地で行われた今戦、レース1のグリッドを決める予選1回目ではアブリル駆る88号車メルセデスがポールを獲得。2番手にGRTグラッサー・レーシング・チームの63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3がつけ、前戦ミサノで今季初優勝を挙げたオレンジ1・FFFレーシングの563号車ランボルギーニ・ウラカンGT3がこれに続いた。

 レースウイーク中日の13日、迎えた決勝レース1は曇り空の下でスタートが切られると、トップ3台を含め隊列が大きく崩れるなく各車が1コーナーを通過していく。しかし、そのオープニングラップ中、中段グループにいた3台のマシンが高速S字で絡むアクシデントが発生したため、レースは2周目からセーフティカーランとなってしまう。
 
 スタートから約10分後、5周目からレースが再開。アブリルがドライブする88号車メルセデスはここでも順位を守り、わずかながらではあるが後ろとの差を徐々に広げていく。
 
 一方、ランボルギーニ同士による2番手争いは終始1秒以内の接戦に。それでも2台のペースは速くピットイン直前には、5番手グリッドからポジションをひとつ上げ4番手となったRモータースポーツの76号車アストンマーティン・バンテージGT3を先頭とした4番手グループを6秒以上引き離した。

 スタートから25分、ピットウインドウ・オープンと同時にトップ4台が同一周回でピットへ。しかし、ここでは88号車、63号車、563号車の順位は変わらず。一方で76号車アストンマーティンは作業に時間がかかり6番手にポジションダウン。スタートで交わしたブラックファルコンの4号車メルセデスAMG GT3に加え、ベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの1号車アウディR8 LMSにも先行を許してしまう。
 
 レース後半、アブリルからステアリングを引き継いだマルチェッロはトラフィックの影響で、一度はクリスチャン・エンゲルハート駆る63号車ランボルギーニに1秒差まで迫られるも、その後は反攻に転じ終わってみれば8秒差をつけて優勝。ポール・トゥ・ウインでレース1を制してみせた。
 
 敗れた63号車ランボルギーニは、前半戦と同じく同門の563号車ランボルギーニとの対決に。最後はこの争いに4号車メルセデス、1号車アウディも加わることになったが、順位変動はなく63号車が2位、アンドレア・カルダレッリ/マルコ・マペッリ組563号車が3位となっている。

■プロ・アマクラスでランキング首位に立つ濱口弘組が2連勝

AKKA ASPチームの88号車メルセデスAMG GT3
GRTグラッサー・レーシング・チームの63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3
オレンジ1・FFFレーシングの563号車ランボルギーニ・ウラカンGT3
レース1でプロ・アマクラス優勝を飾った濱口弘(右)、フィル・キーン組

 翌14日に行われたレース2は、予選2回目で最速となった25号車アウディがポールシッターに。1号車アウディがフロントロウに並ぶ2番手、4号車メルセデスが3番手というオーダーでフォーメーションラップを迎えた。

 この日の天候は曇り空で、時折小雨が落ちるがコースコンディションはドライ。隊列がスタートに向けて進むなか、サンテロック・レーシングの26号車アウディR8 LMSがコース上にストップしてしまう。これによりフォーメーションラップが1周追加され、その間にタイムレースのカウントダウンが開始。実質的なレーススタートは3周目に切られることとなった。

 ポールシッター、25号車アウディのハーゼは、オープニグラップから後続を引き離しレース開始20分後には、2番手につける1号車アウディに対して9秒ものセーフティリードを築く。一方、後方では2番手につけるドリス・ファントールのペースが上がらず。1号車アウディを先頭に6台が数珠つなぎの様相を呈していく。

 レース中盤、ピットウインドウ・オープンと同時に1号車アウディ、3番手の4号車メルセデス、5番手につけていた63号車ランボルギーニが同時にピットインすると、ここでGRTが抜群のピット作業をみせ、1号車と4号車を逆転することに成功する。

 この5分後、トップを行く25号車アウディもピットに戻り、首位を守った状態でピットアウト。レース後半は代わったガシェのひとり旅となり最終的に2位に9.9秒差をつけて独走優勝となった。2位はピットで順位をふたつ上げた63号車ランボルギーニ、3位には約55分に渡って続いた4号車メルセデスの猛攻をしのぎきった1号車アウディが入った。

 前戦ミサノでプロ・アマクラス3位と優勝を飾った濱口弘/フィル・キーン組のオレンジ1・FFFレーシング、519号車ランボルギーニGT3はザントフールトでも速さをみせた。

 濱口がスタートを担当したレース1はクラス2番手から飛び出すと、オープニングラップに発生した多重クラッシュを抜けてクラス首位に浮上。その後、接触などの影響で3番手に順位を落とすが、チームの完璧なピット作業によってポジションをふたつあげて再びトップに。後を受けたキーンがポジションを守り、前ラウンドのレース2に続く2連勝を達成した。

 また、14日のレース2はキーンがクラス2番手でピットインしたものの、ドライバー交代後にエンジンがかからず約25秒をロスしてしまう。クラス5番手となった519号車ランボルギーニだったが、ここから濱口が追い上げをみせ4番手に。さらにファイナルラップには3番手も捉えてクラス3位でチェッカーを受けている。

 これにより濱口/キーン組はブランパンGTワールドチャレンジ・ヨーロッパのプロ・アマクラスドライバーズランキング首位を守り、2番手との差を10.5ポイントに広げて次戦の第8戦ニュルブルクリンクを迎えることとなった。

 なお、ブランパンGTシリーズの次戦、第7戦はブランパンGTエンデュランスカップ/IGTCインターコンチネンタルGTチャレンジの両シリーズに組み込まれる『トタル・スパ24時間レース』だ。同ラウンドはベルギーのスパ・フランコルシャンで7月25~28日に開催される。

サンテロック・レーシングの25号車アウディR8 LMS
ベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの1号車アウディR8 LMS
ブラックファルコンの4号車メルセデスAMG GT3
オレンジ1・FFFレーシングの519号車ランボルギーニ・ウラカンGT3

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