美人焙煎士が教えてくれたアイスコーヒーの美味しい淹れ方

美味しいアイスコーヒーの淹れ方について学ぶセミナーが10日、東京・丸の内の「フォーシーズンズホテル丸の内 東京」7階にあるMOTIF RESTAUNT & BARで行われ、コーヒーディレクターで焙煎士の株式会社カフェオロ代表取締役・山下敦子さんが、美味しいアイスコーヒーの淹れ方をデモンストレーションした。

ホテル主催による、食いしん坊のための“アフター6”部活「MOTIF部」第4弾のセミナー。過去には山下さんによる「ホットコーヒーの淹れ方セミナー」も実施されている。今回は季節柄、自宅で淹れることが多いアイスコーヒーがテーマに。

山下さんの経歴も異色だ。大学生時代から独学でコーヒーの勉強を始め、自家焙煎店勤務や飲食店店長を経て2018年、単身で中米グアテマラに渡りスペイン語を習得。コスタリカでコーヒー農園やカフェの視察後、アメリカ視察を経て帰国。視察でつながった生産地からコーヒー豆を選び販売する「株式会社 カフェオロ」を設立したという“情熱家”だ。

「暑くてお湯を沸かすのが億劫になりがちですが、ちょっと工夫して自宅でアイスコーヒーを淹れることができれば、幸せな夏のコーヒータイムになります」と話す山下さん。セミナーは山下さんがアイスコーヒーを淹れる注意点を話しながら、実際にハンドドリップでデモンストレーションするところから始まった。「深煎りの豆を選ぶ」「ホット抽出時よりも細かく挽く」「ホット抽出時よりもゆっくり濃く淹れる」「抽出が終わったらすばやく氷を入れて冷やす」など注意点を話しながら実際に淹れていく。できあがったアイスコーヒーを注いでもらうと、飲む前からグラスから素敵な香りが。ふだん飲んでいるアイスコーヒーには感じたことのない新しい体験だ。

注意点をふまえ参加者にも体験してもらうコーナーでは、山下さんがサポートしながら淹れ方をレクチャー。 参加者は「難しいかな」 と言いながらも和気あいあいと作業を進めていく。お湯の温度、豆の量、蒸らしの時間、抽出時間から注ぐ方法まで、きめ細かなサポートでドリップされたアイスコーヒーはどれも美味しい。とくに、沸かすお湯の適温(91~93℃)を測る温度計まであったのはオドロキだった。「料理は科学」と聞いていたが、「コーヒーの淹れ方も科学」に違いない。山下さんは「同じ豆でも低音で抽出する浸漬式より、香りと味が明らかになる透過式の淹れ方がオススメ」と語る。

参加者の質問に答える形でアイスコーヒーの豆知識を話す山下さん。「水・酸素・光に弱い焙煎後のコーヒーは、遮光性とバリア性の高い容器に入れて、常温保存で。ただ、夏日は…理想的なのはワインセラーですが…冷蔵庫の野菜室くらいで」と保存のコツを話す。ただし、ドリップ後は「おいしく飲むことができるのはアイスコーヒーで12時間くらい」なのだとか。コーヒーも野菜や料理のように、良質で新鮮なものを新鮮なうちに味わうのが重要だという。

1時間のセミナーは、目の前にお菓子も用意され、食べながら飲みながらの楽しい雰囲気であっという間だ。最後に、デザートとして出されたバニラアイスには、山下さんオススメの食べ方も提案された。コーヒー豆を挽いたときにカップの下に落ちる「微粉」が粗いものと細かいものの2種類が用意される。どちらも香りと舌ざわり、コクと甘みが独特で参加者に大好評だった。

終了後もコーヒーに興味津々の参加者からは質問が殺到。ひとつ一つ丁寧に答えていく山下さんに、今回グアテマラとコスタリカのブレンド豆を使用した経緯を聞くと、「去年9月に会社立ち上げ前に4か月ほど中米を回っていまして。コーヒー豆の生産技術やクオリティに関しては中南米が一番優れている。大きな農園もありますし」。コーヒー豆への情熱で単身渡ってしまうところは行動的だが危険はないのだろうか。「中南米も危ないといえば危ないですが、グアテマラは親日国ですし。私の感覚では、治安が悪いところほど、地元の人は優しい。『あっちには行っちゃダメだよ』と教えてもらった経験もあります。夜は絶対出歩かないのは当然のことですが」と危機管理はしっかりしているようだ。

「中南米では11月から2、3月までが収穫時期。赤い実がついている時期にまた訪問したい。昨年行けなかったパナマにも!」と目標を語る山下さん。現在、店舗はないが、「カフェオロ」オンラインショップやセミナーなどのイベントでも“厳選された”コーヒー豆が入手可能。なお、「MOTIF部」セミナーの第5弾は、8月21日(水)同所で行われる(定員・先着10名、要予約)予定で、部活テーマは「クラフトジン」。丸の内でたしなむオトナの部活に注目だ。

■「カフェオロ」Website http://cafeoro.co.jp/
■フォーシーズンズホテル丸の内 東京  https://www.fourseasons.com/jp/tokyo

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