「ベッテルはキャリア終盤のドライバーのように、判断力や反応力を失っている」元F1ドライバーのブランドルが主張

 元F1ドライバーであり、『Sky F1』の解説を務めるマーティン・ブランドルは、フェラーリのセバスチャン・ベッテルはF1でのキャリアの終盤に差し掛かっており、今や“判断力と反応力を失った”ドライバーであると考えている。

 ベッテルは先週末の第10戦イギリスGPのストウコーナー(ターン15)でレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンに追い抜かれた際、猛烈に追い上げていた。

 ふたりはベール(ターン16)へ向かって猛スピードで進んだが、ベッテルがブレーキングポイントを誤ってフェルスタッペンのリヤに追突したことで、両者はスピンを喫して表彰台争いから脱落することになった。

 ブランドルによれば、この失態は2018年の複数回のミスや、2019年シーズン序盤の第2戦バーレーンGPと第7戦カナダGPでの不運に続くもので、ベッテルが徐々に競争力を失い、F1でのキャリアの終盤に差し掛かっているもうひとつの明らかな兆候であるという。

「彼はただ不運なレースをしているのだろうか? それともプレッシャーのなか、こうした高速バトルで発揮されるべき洞察力、反応力、判断力を多少失ってしまったのだろうか?」とレース後のSky Sportsのコラムで、ブランドルは問いかけた。

「私は彼をとても気に入っており、彼の業績、知性そして人間としての価値に敬服している。だがかなり前に、評論家として中立的な立場でいるために、そうする権利を失った」

「キャリア終盤にある多くのドライバーに見られるように、彼はホイール・トゥ・ホイールのバトルで判断力と反応力を失っている」

 ブランドルはミスの状況を説明する際、擁護する要素を見つけようとしたが、そうすることはできなかったという。

「私はシルバーストンのインシデントがどれほど容易に起こるかを理解している」

「ブレーキライトのないF1マシンは、市販の高級車より5倍速く失速する」

「そしてパニックに陥り、ブレーキペダルを少々強く踏みすぎてフロントのダウンフォースとグリップを失う。そして2メートル幅のフロントウイングがライバルのギヤボックスの下に消えていくわけだ」

「これに加えて、ベッテルはレッドブルの後方から追い抜こうと、右側のステアリングロックを作動させたが、そのせいで起きた横揺れのモーメントが、フロントサスペンションに影響した」

「そして、ブレーキとタイヤが固くロックされ、劇的に減速し、接触が目の前に差し迫ったのだ」

 また彼は、ルイス・ハミルトン(メルセデス)はベッテルより年上であるが、彼はコース上でまったく混乱した様子を見せていないことを指摘した。

「ルイスはそういったミスは犯さないし、ついでに言えば彼はセバスチャンより2歳半年上なのだ」

「一方でチームメイトのシャルル・ルクレールは、いつもスピードと自信を向上させている」

「セバスチャンにはスピードはある。彼はコントロールを取り戻すことができるのだろうか? それは彼にとって非常に大きな課題だ」

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