意外にカンタン?素焼きの鉢で「タンドール窯」をDIYしちゃおう! CAMP HACK×DIYer(s)連携記事企画!ライフスタイルメディア「DIYer(s)」で紹介されたDIY方法をCAMP HACKでご紹介します。今回のテーマは、持ち運びできるタンドール窯。ナンやサンマなどが美味しく焼けちゃう、古代の窯なんです。

CAMP HACK ×DIYer(s)

この記事は、ライフスタイルメディア「DIYer(s)」で掲載されたDIY方法をCAMP HACKでもお届けする連携企画です。今回はいつもとは少し趣向を変えて、あまり耳馴染みのないタンドール窯のDIYをご紹介します!

そもそもタンドール窯とは?

インド料理屋に行った方は見たことがあるかもしれませんが、ナンを焼いている筒状の窯がありますよね。それがタンドール窯です。

北インドからアフガニスタンなど、西アジアから中東にかけて使用されている円筒形の粘土製壺型オーブンのことで、その起源は古代インダス文明まで遡るといわれています。

こちらが今回製作する、ポータブル・タンドール窯の設計図。製作時間はまさかの半日! 重さもわずか7㎏! 材料費はたった4,000円! というテーマに沿った仕様となっています。

用意した材料

・ペール缶(径300×高さ350㎜)
・テラコッタの鉢(径260×高さ310㎜)
・パーライト(18L)1袋
・バーミキュライト(3L)1袋
・川砂(適宜)
・単管パイプ(径38㎜)
・焼き網など
※塗料は好みのものを用意してください。

用意した道具

・ドリルドライバー(鉄工用ドリルビット/陶器用ドリルビット)
・ディスクグラインダー(ダイヤモンドホイール/金属用切断砥石)
・ジグソー(鉄工用ブレード)
・カナヅチ
・センターポンチ
・棒ヤスリ
・カッター
・スコップ
・メジャーなど

STEP.01 ペール缶を好きなデザインに塗装する

こちらが素焼きの鉢を入れる、ペール缶。早速、塗装開始! といきたいところですが、このままでは水性塗料がはじかれて塗ることができません。

ということで、まずは缶の表面についた油脂を落とす下地作りからスタート。ラッカー薄め液を全体に塗布したあと、スプレー式のメタルプライマーを振りかけます。

塗装に準備したのは、ごく普通の水性ペンキ。窯の内部は300~500度まで上がるタンドール窯ですが、断熱材がしっかり熱を遮断してくれるという判断からのチョイス。

なお赤と黄色を選んだのは、なんとなくカレーの色に近いから……。

プライマーが乾いたのを確認し、刷毛で水性塗料を塗っていきます。下地を作ったおかげで、塗料がキレイに乗りました!

ただ色を塗るだけではつまらないので、自作ステンシルシートを作って文字を入れることに。

ヒンドゥー文字っぽい雰囲気のフォントを探し、型紙を製作。文字は「Ultra」「Light」「Tandoor」の3語を作りました。

ペール缶にステンシルを施したら、デザインは完成。

STEP.02 断熱材をブレンドする

オリジナルミックスの断熱材は、パーライトをメインにバーミキュライトと川砂を混ぜたもの。比率はパーライト7:バーミキュライト2:川砂1くらいです。

さらに耐火セメントを混ぜて固める方法もあるようですが、重量が出るのでやめました。

なお、この組み合わせや比率に科学的根拠はなく感覚と軽さ重視で決めたもの。みなさんそれぞれで試してください。

STEP.03 ペール缶のフタを丸く切り抜く

ペール缶の内側に、基礎となる断熱材の厚さを墨つけします。あとで素焼きの鉢を入れる際に断熱材の量を微調整するので、目安でかまいません。

ペール缶のフタを円形に切り取るため、フタの裏側に墨つけします。今回はちょうどいいサイズの鍋ブタがあったので、それを定規にラインを引きました。もちろんコンパスを使ってもOKです。

ドリルドライバーに金属用のドリルビットを取り付け、下穴をあけます。ドリルの刃が滑らないようにセンターポンチで1点凹みを作っておくと穴があけやすいです。

ビットの径はジグソーのブレードが入るサイズを選びましょう。

ジグソーに金属用のブレードを取り付け、墨線に合わせ円形にカットしていきます。カットしたフタは、棒やすりなどでバリを取っておきましょう。

ペール缶内部に、墨つけしたラインまで断熱材を充填します。仕切りとして、焼き網を入れてみました。

STEP.04 素焼きの鉢をカットする

ペール缶に素焼きの鉢をあてがい、上からフタを落としてそのラインに合わせて墨線を引きます。

なおペール缶のサイズに合う鉢を見つけるのに、ホームセンターを何軒もハシゴしたことをここに付け加えておきます。みなさんのご武運を祈ります。

ダイヤモンドカッターを装着したディスクグラインダーで、鉢の底をカット。鉢にヒビが入らないように慎重に作業を行いましょう。

STEP.05 単管パイプで空気調整口を作る

単管パイプで、空気調整口を作ります。ペール缶と鉢の間を通すだけなので、長さは短くてOK。現物にあてがって墨つけしましょう。

単管パイプは、金属用切断砥石を装着したディスクグラインダーでカット。

缶の内部に充填した断熱材の厚みを考慮して、空気調整口の位置を決めます。カットした単管パイプをあてがって墨線を引きましょう。

フタのカットと同様、ドリルで下穴をあけジグソーで穴を切り抜きます。円のサイズが小さいので、刃を切り進めるのがけっこうシビアな作業です。もちろん別の方法であけてもOK。

STEP.06 素焼きの鉢に穴をあける

再び缶の中に鉢を入れ、ペール缶にあけた穴から鉢に墨つけします。

今度は素焼きの鉢に、38㎜径の穴をあける作業です。ドリルドライバーに陶器用のドリルビットを装着し、円形に穴をあけていきます。割れてしまわないよう、慎重に作業しましょう。

穴をあけたら、棒ヤスリできれいな円を成型していきます。ただし棒ヤスリでやるとヤスリの目が詰まってしまうので、あまりオススメできません。

STEP.07 各部材を組み立てる

ペール缶に鉢をセットし、空気調整口のパイプをセット。見事、ぴったりはまりました!

仕上げに鉢の周囲に、オリジナルミックスの断熱材をしっかり詰めていきます。

ついに完成! せっかくなので、この自作タンドール窯を使ってナンを焼いてみました。

番外編 窯の火入れからナン作り

窯の中に炭を入れ、空気調整口からバーナーを突っ込み着火!

さらに空気調整口にドライヤーをあて、風であおれば完璧。フタをして、窯が温まるのを待ちましょう。

打ち粉を広げたまな板で、ナン生地を伸ばします。ここで打ち粉をつけ過ぎると、窯に張りつかなくなるのでご注意を!

バシッ! と窯にナン生地を叩きつけます。熱いので勢いが大事です。

1分ほど経つと、ぷっくりと膨れてきます。表面がキツネ色になってきたら頃合いです。

ふっくらもちもち、焼き立てナンができました!

しかもこのタンドール窯は、どんな食材を入れても美味しくなっちゃうんです。上記のナンをはじめ、タンドーリチキン、ケバブ、豚バラチャーシュー、サンマの塩焼き、さらには焼き芋を調理しましたが、すべて大成功。

まず調理時間が早いです。しっかりと内部の温度が上がったタンドール窯は、ナンだと1分ほどで焼けてしまいます。タンドーリチキンですら10~15分くらいで完成。しかも遠赤外線効果のおかげか、外はパリッと、中はふっくらジューシーという仕上がりに。

余分な油は下に落とし、旨みだけをギュッと閉じ込めるので、もう本当に美味い! 焼き上げた肉や魚を串から取り外した瞬間、「ぷすっ!」と音を立てて爆ぜる瞬間がもうたまりません。

さらにポイントなのは、炭を使った窯なので使用時の煙が少ないこと。肉や魚から落ちる油を熱源の炭に当てないように気をつければ、煙がほとんど出ません。薪と違って、炭ならすぐに入手できるのもいいですね。

作品自体の作りやすさも、この窯のメリット。今回のようにペール缶に塗装をしなければ、半日で製作することが可能です。

工具さえ揃っていれば、ビギナーでも十分にDIYできる難易度。しかも材料費4,000円ときたら……もう作らない理由がない!

最後に、こだわった重さ。ペール缶に詰める断熱材は、パーライトをメインにブレンドしなおかつセメントで固める方法を避けた結果、7kgという軽さを実現。まさにポータブルの名に恥じない持ち運びやすさを実現させることに成功しました。

本当にポテンシャルは高いので、みなさんもぜひタンドール窯を自作して、オリジナルの窯料理を好きな場所で楽しんでみてください!

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