17日に発表されたカタールW杯2次予選(兼2023年アジア杯予選)でグループFに振り分けられた日本代表。グループCやGに比べて比較的楽なグループに入ったという声は多い。
しかし、格下と侮るなかれ。これまで日本代表はW杯予選を全勝で突破したことはない。そこで今回はライバルたちを簡単に紹介しよう。
キルギス
FIFAランク:95位(2019年6月)
愛称:Ак шумкарлар(白いハヤブサ)
中央アジアの貧しい国という印象を抱かれがちなキルギスだが、今グループで日本代表を除くと一番FIFAランク95位と一番高い。ソ連から独立後の1992年に初の国際試合を行ってから17年、2019年のアジアカップに初の本大会出場を決めベスト16に進出した進境著しいチームだ。
選手の多くは国内組だが、周辺諸国のウズベキスタン、ロシアなどでプレーする海外組もいる。
2014年のW杯予選で初めて2次ラウンドに到達、だが、2014、2018と2次ラウンドで敗退を喫している。
6月の親善試合ではパレスチナと引き分け。アジアカップでもベスト16とはいえフィリピン相手のわずか1勝のみと勝ちきれないのが不安要素だ。
注目選手
アントン・ゼムリャヌヒン
セルビア、カザフスタンなどでもプレー経験のあるベテランMF。左サイドを中心にDFからFWまでどこでもプレーするが、代表で2試合に1ゴールのペースで得点を量産。高い得点力を誇りストライカー的な役割でプレーすることもある。
ヴィタリ・リュクス
ドイツで長くプレーしニュルンベルクのBチームに在籍経験もある。現在は同ドイツのSSVウルムでプレーするストライカー。アジアカップのフィリピン戦でハットトリックを達成し、アジアカップベスト16入りの立役者。
タジキスタン
FIFAランク:120位(2019年6月)
愛称:Тоҷҳо(冠)、Шерҳои форсй(ペルシャのライオン)など
旧ソ連から独立した国で同じグループFに所属するキルギスとは国境を接し、南に位置する。中央アジアの中でも最も貧しく、そして新年や誕生日を必要以上に祝うことを禁ずるなど厳しすぎる規律が話題となった。
2014年W杯予選では3次予選に進出し日本とも対戦した。しかし、これは2次予選で戦ったシリアが試合に無資格の選手を出していたために失格となり、代替での出場であった。
2006年にAFCチャレンジカップ優勝を果たすも、近年は2014年大会は予選敗退。アジアカップに出場経験もないし、国力のなさがチーム力のさらなる低下を招いた。
それでも育成は実を結んでおり、2018年のAFC U-16選手権で準優勝。2019年のU-17W杯にチームは本大会出場が決定している。それ以外でもユース年代では結果を残しているだけに若い力がどれだけ出てくるかが鍵となる。
中国資本により経済が活性化しており、サッカー界でもその波はある。例えば、代表のユニフォームサプライヤーは中国のリー・ニンである。
シヨヴシュ・アスロロフ
188cmの身長を誇るタジキスタン代表の壁となるDF。イスティクロル・ドゥシャンベでは国内リーグを毎年のように優勝。国内リーグでの活躍から、2019年よりマレーシアのPKNPに所属する。
パルヴィジョン・ウマルバエフ
中盤の核。ロシアの名門ルビン・カザンの下部組織出身でロシアU-18代表経験があるが、2015年にタジキスタン代表に鞍替えした。いわゆる小柄な攻撃的MFで技術と俊敏性を生かして攻撃にアクセントをつける。
ミャンマー
FIFAランク:138位
愛称:アジアのライオン
ビルマという国名だった1960年代にはアジアでも強豪の1つであったが、政治情勢のまずさからチーム力を低下させていった。2014年W杯予選ではオマーン戦でサポーターが暴動をおこし試合は打ち切りになり0-2のまま敗北。そのままミャンマーは2次予選で敗退となった。2018W杯予選はその罰としてホームゲームを中立地開催となり、これも予選で敗退している。
ただ、予選に出れるようになったのは最近のことで、アジアカップにも不参加であったり、W杯予選でも失格、棄権など悲しい事実が浮かび上がる。
明るい話題は2016年の東南アジアサッカー選手権でベスト4に進んだこと。
注目選手
ゾー・ミン・トゥン
タイのチョンブリーでプレーするセンターバック。ミャンマーU-22、U-23代表を経てA代表60cap以上を誇る。高さと強さがありセットプレーではターゲット役になるほか、攻撃面の貢献からサイドバックで使われることもある。代表のキャプテンを務めている。
チョー・コー・コー
2011年の東南アジア競技大会で銅メダルを獲得した時のメンバーで自身も5得点をあげた。タイでプレーする選手で、足元の技術があり両足でボールを扱え、ドリブルで打開できる力とシュートの決定力を併せ持った万能型のフォワード。
モンゴル
FIFAランク:187位(2019年6月)
愛称:Khökh Chononuud(青い狼)
相撲やバスケットボールの印象が強いモンゴルだが、ブルネイを一次予選で下し初めてW杯二次予選に進出した。FIFAランクはグループFの中でも最下位、苦戦が予選されるがそもそも二次予選に進出したこと自体が喜ばしい。
親善試合を組むことも難しく今年はW杯予選以外の開催が今のところ予定されていない。それでも昨年はラオスに4-1、フィリピンのダバオのクラブチームに2-0と着実にチーム力をつけている。
選手のほとんどは国内組で、国内リーグには日本人も多くプレーしている。代表監督のドイツ人ミヒャエル・ヴァイスはかつて京都パープルサンガでアシスタント・マネージャーを務めたことがある。何かと間接的に日本との縁を感じる。
モンゴルにとってミャンマーは因縁の相手となる。2014年W杯一次予選ではホームで1-0で勝利したもののアウェーで1-2と敗戦し僅か1得点の差で次のラウンドに進めなかったからだ。
注目選手
ナランボルド・ニャム=オソル
モンゴル代表17cap8goalを誇るストライカー。2015年のモンゴルリーグ得点王。180cm超の身長と80kg以上の体重があるフィジカルが武器の本格派。所属するホルムホンが2部降格したため、2018年よりアスレティック220に移籍した。
ガンバヤル・ガンボルド
モンゴルの将来を担うとされるFW。モンゴルU-17~U-23代表の経験があり、6月の1次予選ブルネイ戦でA代表初招集を受けた。2016年よりハンガリーのプスカシュ・アカデミアに移り2018年にモンゴルへローンの形で復帰した。モンゴル初の欧州でプレーしたプロサッカー選手である。