タイの森林火災深刻化 小型消防ポンプで貢献したい 九州唯一の消防車メーカー・ナカムラ消防化学(大村)が需要調査

ナカムラ消防化学が開発した小型消防ポンプ=大村市平町、同社

 九州で唯一の消防車メーカー、ナカムラ消防化学(大村市)は今月から、森林火災が深刻化するタイで、自社で製造した消防ポンプの需要調査に本格的に乗り出した。中小企業の海外展開を支援する国際協力機構(JICA)の案件化調査にも採択。同社の中村康祐社長は「タイだけでなく東南アジア全体の消防に貢献したい」としている。
 同社によるとタイでは近年、焼き畑農業に起因する森林火災で煙害が発生し、大気汚染や健康被害、環境破壊が深刻化している。こうした火災による被害を軽減するため、同国の消防機材や技術の向上が大きな課題となっているという。
 案件化調査では、同社が製造した小型消防ポンプ1台を現地で使用してもらい、1年かけて需要や課題を探る。ポンプは小型で持ち運びが可能なため、街中の狭い場所や山岳地帯でも消火活動に使える。約1キロメートルの送水能力があり、平時は農業用ポンプとしても活用できるという。早ければ3年後にも本格的な輸出につなげたい考えで、消防団のような消防組織などソフト面でも日本のノウハウを伝えたいとしている。
 先月、JICAの北岡伸一理事長が同社を訪れポンプなどを見学したほか、今月6日にはタイの行政機関や大学、長崎大、大村市と協定を締結。両国の防災に関して産学官で取り組んでいく枠組みも整えた。中村社長は「中小企業であってもチャンスを生かし、メード・イン・ジャパンの製品や仕組みを広げたい」と話した。

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