「糖度が高い自慢の商品」 神奈川生まれのロングセラー「クインシーメロン」

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毎年行われているクインシーメロンの試食会=2018年6月、根岸森林公園

 1965年ごろからメロンの品種開発に取り組んできた横浜植木(横浜市南区)。約20年前に発表したクインシーメロンは、オレンジ色で甘く滑らかな果肉が特徴だ。果肉の色素はカロテンによるもの。クインシー以前の品種は独特なカロテン臭があることで人気が広がらなかったが、品種改良を重ね、今や赤肉メロンの定番商品となった。

 「クインシーは農家、流通関係者、消費者に定番商品として長年愛されている」と伊藤智司社長。「手頃な価格にもかかわらず、赤肉メロンの認知度を高めた夕張メロンより糖度が高い自慢の商品だ」と胸を張る。

 同社では、クインシーの前にも「ルンバ」や「タンゴ」などの赤肉メロンを発表していた。しかし、当時は臭みの強かったニンジンや戦後の食糧難の時代の食卓を支えたカボチャを想起させる独特のカロテン臭があることから、支持を広げるまでには至らなかった。

 長年の研究を経て1998年に発表されたクインシーメロンは、それまでの赤肉メロンの弱点であった日持ちの短さ、糖度の低さ、カロテン臭を解消。地這(ば)い栽培が可能で1株から4玉が結実するなど、生産者にとっても収益性が高かったことからまたたく間にヒット商品となった。

 「品種の普及は、生産者が収益を確保できるかどうかにかかっている。また消費者がリピート購入したくなるものでなければ短命で終わってしまう」と伊藤社長は強調する。

 クインシーができる前は弱点となっていたカロテンだが、消費者の健康志向が追い風となった。赤肉メロンにはβカロテンが豊富に含まれており、免疫力アップや美容効果が期待できるという。ちなみに「クインシー」という名前は、華やかで女性的なオレンジ色からイメージした「クイーン」と「ヘルシー」を掛け合わせた造語だ。

 流通サイドに歓迎されたのは、実がしっかりしており、切ってもあまり汁気が出ないこと。サイコロ状にカットした形でも売れるため、店頭でのロスを減らすことができる。「近年は特に、世帯人数の減少でカットフルーツの人気が高い。多少割高でも、生ごみが出ないことがポイントのようだ」と山田茂取締役。

 しかしそれは同時に、1玉で購入される機会が減少したということでもある。「イチゴやシャインマスカットなど、生ごみの出にくい果物に人気が集まっている。果物の王様といわれるメロンだが、作付面積は減少してきている」と山田取締役は顔を曇らせる。しかしメロンの人気がなくなったわけではなく、試食イベントを開催すると大きな反響があるという。

 伊藤社長は「メロンは水分とカリウムを豊富に含んでおり、汗をかきやすいこれからの時期にぴったりの果物。ぜひ旬のフルーツを楽しんで」と話した。

クインシーメロン ウリ科キュウリ属。横浜植木が1998年に発表し、赤肉メロンの定番品種となった。主力産地は熊本、茨城、山形県。価格は時季や店舗によって異なるが、おおむね1個千円以下で販売されている。