令和の選択 参院選長崎終盤ルポ・5完 <佐世保市> IRや基地 語られず

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候補者の演説に耳を傾ける有権者=佐世保市、島瀬公園

 「地元佐世保の皆さまと顔を合わせ、心を合わせ、政治の流れを変える」。12日夜、佐世保市吉井町。国民民主新人、白川鮎美候補(39)は個人演説会でマイクを握り締めた。
 市内の小中学校を経て佐世保高専を卒業。選挙戦では「地元出身」を前面に打ち出している。公示日には早速地元入りして出陣式を開き、共闘する社民や共産などの関係者が集結。「佐世保から女性の国会議員を」と気勢を上げた。個人演説会も市内全域の4カ所で積極的に開いた。
 ただ、態勢にほころびも見える。民進党時代に白川氏の擁立に動いた元衆院議員の宮島大典県議は、公示前の県政報告会で白川氏を紹介。「私にも責任がある。応援する」と述べた。しかし、具体的な支援の動きは見えない。4月の県議選で宮島氏は保守層を取り込むため無所属で出馬して圧勝。「政党色を付けたくないのだろう」と周囲はみる。
 陣営の活動方針に異議を唱えるベテラン市議もおり、陣営関係者は「一丸とは、言えない」とぼやく。
 自民現職の古賀友一郎候補(51)は、自民県連会長に就任した地元の北村誠吾衆院議員のほか、朝長則男市長の後援会もバックアップ。岸田文雄政調会長ら複数の閣僚経験者が駆け付け、中央での実績をアピールした。
 市議との連携も強化。市議会の保守系会派は長く三つに分かれていたが、4月の改選後に市議21人の「自民党市民会議」に一本化した。協力する公明市議を含め全域で下支えしており、陣営も「まとまりがある」と手応えを口にする。
 それでも13日に開いた市内で唯一の個人演説会では、不安も表面化した。会場にある600席のうち埋まったのは三分の二ほど。県議選と比べ動員が鈍く、「地元県議は手を抜いていないか」と支援者は疑心を募らせる。
 しかも応援で登壇した国会議員や朝長市長らは早々に退席。同じ時間帯に市内で開かれていた自民市議の議長就任祝賀会に向かった。結局、最後まで壇上に残っていたのは公明の議員らで、“ちぐはぐ”な調整に不満の声も漏れた。
 佐世保市はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致や基地問題など国政と直結する懸案が山積している。しかし、両候補の演説で具体的な考えが語られることはない。「有権者を引きつける言葉がない。本当に佐世保の事情を分かっているのか」。そんな嘆きは双方から聞こえる。