“多頭飼育崩壊”からネコを救え!家に80匹・・・NPOが保護 里親探し急務 長野

7月、長野県南信地方で一度におよそ80匹のネコが保護された。ペットが増えすぎて適切な飼育ができなくるいわゆる「多頭飼育崩壊」。その実態と、一匹でも多くネコの命を救おうと活動するNPOを取材した。

暗く汚れた室内で暮らすネコ。南信地方の30代の男性が住んでいた賃貸住宅。男性は7年ほど前からネコ6匹を飼い始めたが、不妊や去勢の処置をしなかった。

その結果、飼い猫の間で繁殖が繰り返され、およそ80匹まで増えた。悪臭などを理由に退去を求められた男性は、上田市のNPO法人「1匹でも犬・ネコを救う会」に助けを求めた。

今月中旬、ネコたちは救う会に協力する動物愛護団体によって保護された。部屋には栄養失調で死んだとみられる死骸も。ペットが増えすぎて、飼育が困難になる、典型的な「多頭飼育崩壊」だ。 

飼い主の男性は、この日、「自分の責任でこんなことになってしまい申し訳ない。自分ではもうどうすることもできない」と話したという。

(1匹でも犬・ネコを救う会・松井ルミさん)「今まで一番多くても45から50匹弱。衛生管理的にもネコが住める環境ではない、人間が住める環境でもない。ほぼ全ての部屋がふん尿で蓄積されて盛り上がっている。激しい怒りというのはあるんですけど、怒ったからってどうにかなるものではないので」

ネコたちは松本市内の施設に移された。

(記者リポート)「多頭飼育崩壊した猫のほとんどは適切な治療を受けていません。こちらでは数日間かけて保護されたおよそ80匹の手術が行われます」
ここで、順次、不妊・去勢手術や感染症のワクチン接種を受けた。費用はおよそ100万円。救う会が寄付金などでまかなうことにしている。

(獣医)「(手術で)胎児を子宮ごと取り出した。管理できないのは、心の問題があるのでは」
「多頭飼育崩壊」の多くが、今回のような、不妊・去勢の処置をしていないことによる異常繁殖だ。経済的な理由の他、ペットを飼う上での知識や責任の欠如が背景にあると言う。

(1匹でも犬・ネコを救う会・松井ルミさん)「麻痺してくるんだと思う。とりあえずエサあげて、家の中にいるから(いいや)と。それで何年も経ってしまった」

上田市にある救う会の「シェルター」。里親募集をして引き取られるまで、保護したネコを一時的に飼育する施設だ。去年、空き家を買い取って作られた。救う会は10年ほど前から保護活動を始め現在メンバーは20人。

今回、保護されたあのネコたちも術後の経過が良好ならここへ移される。しかし、シェルターは既にほぼ満杯の状態。このため、飼育スペースを増やすことにしてるが、里親探しも急務になっている。

(1匹でも犬・ネコを救う会・松井ルミさん)「(現在)80匹このシェルターにいることがギリギリの状態。保健所に持ち込むと、数が多ければ(殺)処分対象になってしまうので、なんとか1匹でも多く寿命を全うするまで可愛がってくれる里親さんのもとに行ってもらえたら」

シェルターには、捨てネコや飼い主が亡くなってしまったネコもいるが、その半数近くが実は「多頭飼育崩壊」で保護されたネコ。救う会は年間10件ほど、「多頭飼育崩壊」に直面している。救う会によると、そうしたケースに陥る飼い主は社会から孤立していることが多いという。

このため崩壊を防ぐには、相談しやすい環境づくりと最後まで責任を持って動物を飼う意識が必要だと訴えている。

(1匹でも犬・ネコを救う会・松井ルミさん)「未然に防げるように、早くSOSに気付けるように、察知できる体制・仕組みづくりが出来てきてくれれば。面倒を見れる範囲の数で、必ず不妊・去勢手術はしていただく。迎える時点でどんなことがあっても手放さないで天寿全うするまで自分の手元で飼っていただきたい」

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