「多様化する教育現場に対応」=全伯日本語教師研修会を開催=日本や中国から講師が来伯

研修の受講生ら

 ブラジル日本語センター(日下野良武理事長)は18~20日の3日間、「第62回全伯日本語教師研修会」を行っている。マット・グロッソ・ド・スル州、ブラジリア連邦直轄区など遠方含め、全伯から44人の日本語教師が情報交換や指導技術向上のために参加。18日午前の開講式では、関係者や来賓による挨拶、日本語教師認定証授与式などがあった。

 今回のテーマは「成長し続ける教師であるために ~多様化する教育現場に対応する~」。日本から学校法人江副学園新宿日本語学校校長の江副隆秀氏、中国から中国北京大学の駒澤千鶴氏が来伯し、講演会や意見交換会、ワークショップなどが行われている。
 開講式には同センターの前身、日本語学校連合会会長だった下本八郎元聖州議、独立行政法人国際協力機構(JICA)のブラジル事務所から佐藤洋史所長、在サンパウロ日本国総領事館の平野恭子副領事らが出席。
 平野氏は今回のテーマに触れ「『多様性に対応する』ことは他者を尊敬することで、日本文化の根幹に関わるもの。研修に参加することで、皆さんはより深く日本文化を伝えられるようになるのでは」と期待を語った。
 開講式では日本語教師認定証授与式、第32期日本語教師養成講座修了証授与式、また講師として10年連続の来伯を迎えた江副氏に顕彰プレートが手渡された。
 日本語教師認定証授与式では、遠藤勝久さん(ひかり塾、聖市)、染谷光子さん(アチバイヤ日伯文化体育協会・アチバイヤ日本語学校)、萩本みどりフェルナンダさん(イビウーナ日本語学校)の3氏に認定証が贈られた。認定証は同センターが独自に発行した。
 続いて太田まゆみさん(ブラジル世界救世教)、富川菊池アフラニオ悟さん(アチバイヤ日伯文化体育協会・アチバイヤ日本語学校)、長谷川藍さん(サウーデ文化体育協会・日本語学校)、濱田彩乃さん(むつみ幼稚園、ロベルト・ノリオ学園)、三好保母久美エリカさん(スザノ日伯学園)、矢野まゆみさん(個別指導)の6氏に日本語教師養成講座修了証を授与。養成講座は7ヵ月間の講義や通信教育、模擬授業などの指導を受け、認定試験に合格した人に贈られる。
 江副氏は10年間、研修に講師として私費で来伯。日下野理事長から感謝状を受け取り、「20年目まで頑張って、感謝状をまた受け取りたい」と笑顔で話し、会場の笑いを誘うとともに大きな拍手が送られた。
 日下野理事長は「日本には謙虚、思いやり、目上の方への尊敬、礼儀作法など良い文化がある。ポ語にも似た意味の言葉はあるが、完全には訳せない。日本語でないと伝わらないものがある」と日本文化を伝える上での日本語教育の重要性に言及。「ブラジルに渡った移民が111年かけて培った努力、思いを伝えなければならない」と力強く語った。

□関連コラム□大耳小耳

 ブラジル日本語センターの日下野良武理事長は、先日の参議院本会議で可決・成立した、日本国内で暮らす外国人の日本語教育を推進する「日本語教育推進法」について、日本メディアの報道に対する不満を漏らした。法案には、海外日系社会の日本語教育支援も盛り込まれたが、その部分について日本国内ではあまり報じられなかったためだ。「日本の日本人は国内のことだけにとらわれがち。国際化が進む今、もっと広い視点をもってほしい」と苦言を呈した。ブラジル日系社会を含め、日本語や日本文化を学ぼうとする人は世界中にいる。日本はもっと外に目を向けてほしいものだ。

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