BTCC:タイヤテストは好調フォード・フォーカスRSが連日最速。インフィニティも初登場

 2019年シーズンも中盤となり、恒例のサマーブレイクに突入しているBTCCイギリス・ツーリングカー選手権は、7月16~17日にかけて後半戦開幕の舞台であるスネッタートンでダンロップ・タイヤテストを開催。連日ともにモーターベース・パフォーマンスのフォード・フォーカスRSが好調を維持し、トム・チルトンが最速を記録。また後半戦デビューを予定する、Laser Tools Racingの『インフィニティQ50BTCC』もトラックデビューを果たしている。

 初日午前のセッションで予選シミュレーションを実施したモーターベース勢は、チルトンが早々に1分56秒144のファステストをマークし、最終的にはこのタイムが2日間を通じた全体最速タイムとなった。

「僕らは今回のテストで異なるコンパウンドやセットアップを試したが、この手応えはマシンやチームをさらに引き上げる本物のチャンスになったよ」と、成果を語った元WTCC世界ツーリングカー選手権レギュラーも務めたチルトン。

「開幕前にはスペインでのプライベートテストにも参加していたけど、状況はあまり芳しいものではなかった。だからこそ、今回のテストはとても重要な意義を持つものになったね」

 その午前で2番手を記録したチーム・ダイナミクスのダン・カミッシュ(FK8ホンダ・シビック・タイプR)が初日総合の2位となり、午後のセッションで最速だったCobra Sport AmDのサム・トルドフ(FK2ホンダ・シビック・タイプR)が総合3位。午前午後とも3番手のコリン・ターキントンが総合4位、午後2番手のチーム・トヨタGB withスピードワークス・モータースポーツ(SWM)、新型トヨタ・カローラBTCCのトム・イングラムが5位に続くリザルトとなった。

前半戦は表彰台争いに顔を出せず苦戦が続いていたモーターベース・パフォーマンスのフォード・フォーカスRS
デビューシーズン前半戦で、すでに1勝を記録するトヨタ・カローラBTCCも好調をキープ
2018年のユーロテックを引き継いだAmDホンダは、2台揃って安定してトップ10圏内を維持する

 明けた2日目もフォード・フォーカスRSのモーターベース勢が速さを維持し、チルトンのチームメイトであるオリー・ジャクソンが午前のタイム1分56秒290でこの日の最速に。午後は今季参戦を休止しながらもテスト参加を決めたハンディ・モータースポーツのロブ・オースティン(アルファロメオ・ジュリエッタBTCC)が1分56秒556でセッション首位となり、2日目総合でも4位に入る健闘を見せた。

 そして先日、シーズン後半戦からのマシンスイッチをアナウンスしたレーザー・ツールズ・レーシングは、初日午後から新型『インフィニティQ50BTCC』のシェイクダウンを実施。ステアリングを握った22歳のエイデン・モファットは、2日目に早くも42周を走破して、4シーズン慣れ親しんだメルセデス・ベンツAクラスとの相違点把握やマシン習熟を行った。

「僕はこのテストを通じて単独で新車をドライブし、死ぬほど多くのデータを集めることができた。これは次のラウンドに向けて本当に役立つことになるだろうね」と、タイムシートではテールエンダーに近い記録のみながら、充実の表情を見せたモファット。

「今回、タイムやペースは僕らの焦点じゃなかった。個人的にも新相棒のフィーリングや後輪駆動マシンのドライビングを学ばなくちゃいけなかったからね。それにチームのエンジニアもクルマを知り、セットアップ変更に対してどんな反応を示すかを知る必要があった」

「このマシンチェンジに向け多くの作業をこなしてきたし、この時点でペースは問題視していない。いずれにせよ得られたデータには勇気付けられたし、Laser Tools Racingとしてこのスイッチには自信を持っているよ」

 今回のテストで、新たに搭載した最新のスウィンドン・エンジニアリング製TOCA共通エンジンに合わせた冷却システムが充分な効果を発揮していないことが確認され、チームはターボチャージャーの効率をさらに向上させるため、後半戦開幕のスネッタートン・ラウンドまでに修正版ダクトの導入を検討している。

メルセデス・ベンツAクラスからのスイッチを発表したLaser Tools Racingとエイデン・モファット
現行NGTC規定に合わせて大幅なアップデートを受けた新型『インフィニティQ50BTCC』は42ラップを走破
2019年は参戦休止中のHMSとロブ・オースティンは「クルマが劇的に改善し、競争力を示せて安堵した」

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