あなたの一票が「無効票」に?投票用紙には正確に書こう!| #参院選2019 一票の重み

7月21日(日)は第25回参議院議員通常選挙(以下、参院選)の投開票日です。投票所で投票用紙を受け取り、投票記載台で選挙区であれば候補者の名前を、比例であれば政党名もしくは候補者の名前を書き、投票箱に入れる、というのが投票の流れです。
しかし投票用紙に書く候補者名や政党名が正確でないとせっかく投じた一票が「無効票」「疑問票」となりあなたの意図が正しく伝わらないことになってしまうかもしれません。今回は無効になってしまう書き方や、無効票・疑問票の扱いによって1票で当落が分かれた例をご紹介します。「一票は重い」とよく言われますが、同じくらい「正しく書く」ということの重要なことがわかります…!

投票用紙に候補者名・政党名以外のことは書かないで

投票用紙に候補者名や政党名以外の余計なことを書くと無効票になってしまいます。
例えば、「選挙太郎」さんという候補者に投票しようと思ったら「選挙太郎」とだけ書けばいいのですが、「選挙太郎がんばれ」や「勝て!選挙太郎」といったことを書くと無効になってしまいます。括弧でくくったり、☆やハートマークのような記号を書いたりするのも無効になります。

候補者の名前だけを書いたとしても、2人以上の候補者名を書いてしまうと無効票になります。
「選挙太郎」「選挙花子」の2人が立候補していたとしても投票用紙に「選挙太郎 投票花子」のように複数人の名前を書いた票は無効になります。投票用紙には1人だけ書きましょう。

明確に区別ができない票は「疑問票」「按分票」になるかも

どの候補への投票なのかが判断できない票―疑問票が生じる可能性もあります。
疑問票は、投票用紙の記載内容から投票者の意思が明白にわかるなら有効として扱うことが公選法で定められていますが、最終的な判断は開票所の開票管理者が行うことになります。一つの選挙に似た名前の候補いるときなどには「按分票」としてカウントされることもあります。
例えば「選挙太郎」「選挙次郎」という2人の候補がいた場合に「選挙」とだけ書かれた票があったら、「選挙太郎」と書かれた票と「選挙次郎」と書かれた票の割合に応じて「選挙」と書かれた票を小数で分ける、ということが按分です。

疑問票や無効票が当落を分けたケースも

実際に無効票で当落が入れ替わった選挙があります。2017年11月に行われた葛飾区議会議員選挙では40人が当選しました。当初40位で当選した大森ゆきこ氏(2176票)と、次点の会田浩貞氏(2175票)で、わずか1票差で当落が決まっていました。
この開票結果に会田氏は選管に異議を申し立て、葛飾区は申し立てを棄却しましたが東京都に対して出された申し立ては受理されて票の再点検が行われました。再点検の結果、大森氏の得票とされていた票のうち2票が無効票と判断され、大森氏の得票が2176票から2174票になり、票数に変化のなかった会田氏の得票数を下回ることになりました。

最終的に最高裁の当選無効の通知によって大森氏の当選が無効となり、大森氏は議員を失職しました。

>>1票差の劇的勝利がまさかの「大逆転1票差負け」に?葛飾区議選の当落入れ替わりはなぜ?

1票差で当選が無効になった本人は…「議員でなくてもできる活動はある、けれど悔しい」

選挙ドットコムでは大森ゆきこ氏ご本人にこの時の心境を伺いました。

選挙ドットコム
1票差の当選から1票差の当選無効になることが決まったときの心境を伺えませんでしょうか。

大森氏
悔しいですが、幸いなことに両親も元気ですし、議員でなくなった今もできる活動はあります。

選挙ドットコム
どんな点が悔しいと感じましたか?

大森氏
葛飾区の選管は当初異議申し立てを棄却しましたが、東京都の選管に出された異議申し立てでその区の申し立て棄却の判断が覆されたことですね。区で決めたことを都に覆されたのが悔しかったです。

選挙ドットコム
当選無効の通知までは議員として活動されていた訳ですよね?

大森氏
はい、2018年12月12日に当選無効の通知が届き、その翌日から議員でなくなりましたが、2017年11月の選挙からそれまでの1年1ヶ月の間の議員活動は議会の議事録にも残ります。議員ではなくなりましたが現在は地域の親子サロンで代表を務めたり、議員の時に組んでいた会派の方たちのところで事務員をしながら勉強をしています。自分でできることをやるために議員になろうと思っているので選挙に再挑戦することも考えています。

選挙ドットコム
一票の重みが身に染みてわかった気がします。多忙な中、お時間いただきありがとうございました。

投票用紙に書くときは正しく・明確に書こう

7月21日(日)が参院選の投票日です。投票日当日に投票する方も、土曜に期日前投票で投票する方も、せっかく投じる一票に込めた意図は正しく反映されてほしいですよね。そのためには無効票・疑問票と判断されないように選挙区であれば候補者名を、比例であれば政党名あるいは候補者名を正しく明確に書くことが一番です。あなたの一票が当落をわけるかもしれません。

© 選挙ドットコム株式会社