【MLB】大谷翔平はトラウト&イチローを手本とすべし エ軍OBが力説「本塁打狙いのスイング必要ない」

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

「あの長い腕とパワーで柵越えは簡単。彼の場合は本塁打は自然と生まれる」

 今季打率.303、14本塁打、40打点と好調を維持するエンゼルスの大谷翔平投手。エンゼルスOBで1993年にア・リーグ新人王に輝いたティム・サーモン元外野手はFull-Countの取材に応じ、後半戦本塁打のないスラッガーに対し、「ホームラン狙いのスイングの必要はない」と断言。同僚のマイク・トラウト外野手とマリナーズのイチロー元外野手の2人の天才を手本にすべし、と説いている。

 右肘靭帯損傷によるトミー・ジョン手術を受けた影響で、5月7日のタイガース戦で戦列に復帰した大谷。序盤は打球に思うような角度が付かず、ホームランがなかなか出なかった。復帰後1か月ほどが経った6月頃から持ち前の長打力が本領発揮。後半戦はヒットこそ出ているものの、まだ本塁打は出ていない。この点についてサーモン氏はこう語っている。

「個人的にはローンチアングル(打ち出し角度)についてはそこまで重要視していない。ホームランバッターか、否かによって重要性が変わってくる。彼は美しいフラットなレベルスイングの持ち主。ボールを前で捉えることができるなら、あの長い腕とパワーで柵越えは簡単だ。ホームランを狙うスイングにする必要はない。彼の場合はホームランは自然と生まれるものだ」

 フライボール革命が全盛の時代。打球に角度をつけるために、アッパースイングの強打者が目立つが、大谷にはわざわざスイングを変える必要はないとサーモン氏は説く。14年間エンゼルス一筋で活躍し、公式戦の中継局「FOXスポーツ・ウェスト」で解説者を務めるレジェンドは、3番大谷の前に座るマイク・トラウト外野手という天才を手本にすべし、と持論を展開した。

「トラウトを見ればいい。確かに彼は今ホームランを量産している。だが、彼は単打も打つ。広角にフィールド全域にヒットを放つ。常にホームランを狙わない打撃が彼の有効性を高めているんだ。オオタニはマイク・トラウトのようにアプローチする必要がある。左中間への二塁打を増やして欲しい。左中間への打撃を意識して欲しい。その延長線上にホームランがあるんだ」

現在は解説者を務めるエンゼルスOBのティム・サーモン氏【写真:編集部】

「自然にローンチアングルを生み出せる存在だ。過度に意識すると、ストロングポイントを損ねることになる」

 今季リーグトップの30本塁打を記録している絶好調のトラウト。MVP候補の呼び声高いが、打率は.305、出塁率はメジャートップの.
453を記録するなど、驚異的な打撃技術を見せつけている。このトラウトを参考にするとともに、サーモン氏はもう1人、最高の手本とするべき存在として、日本人のレジェンドの名前を挙げた。

「私はローンチアングルに関しては心配していない。過度に意識する必要はない。彼には長い腕と偉大な体格がある。打撃コーチにも伝えたけれど、彼は自然にローンチアングルを生み出せる存在だ。わざわざ作りに行く必要はないんだ。それを過度に意識すると、長い腕というストロングポイントを損ねることになる。全盛期のイチローを見て欲しい。彼は長い間ボールをバットに載せることができていた。それで思い通りの打撃を実現していた。華麗なスイングの持ち主の左打者だった。オオタニにとっては最高の手本じゃないか」

 今年3月に現役引退するまで数々の偉業を達成した日本の誇る天才安打製造機のバットコントロールは大谷にとって格好の参考書になるという。「ホームランは最高だ。でも、ハイアベレージで出塁し、打点を重ねることがもっと大事。それを体現しているのがトラウト。それをできるのはオオタニでもあるんだ」。

 トラウト、イチローは米国野球殿堂入り確実の存在だが、メジャー屈指のエリート打者とともに地元メディアに評価される大谷もまた天才である。エンゼルスで史上初の新人王に輝いた偉大な先輩は、この2人を見本に、さらなる打撃を進化させるべきだと力説した。(Full-Count編集部)

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