月面着陸50年

 50年前の長崎新聞の記事で、長崎市内の女性(33)が語っている。「私も子どもたちに刺激され、食事そっちのけでテレビにかじりつきました」。7月21日の世界と日本と県内と、そして宇宙の様子を何ページにもわたって伝えている▲日本時間で言うと1969(昭和44)年のその日、米宇宙船アポロ11号が人類初の月面着陸に成功した。当時を知る方は、アームストロング船長が午前11時56分20秒、最初に左足で月面を踏む映像をどこで、どなたと一緒に見たか、覚えておられるだろうか▲当時、カラーテレビがどっと売れたという。世界中の何億という人々が、歴史的瞬間の“目撃者”としてテレビにかじりついた▲記事の中に「アポロ・ベビー」という造語を見つけた。佐世保市などでこの日に生まれた子をそう呼んでいて、「月にちなんだ名前をつけたい」というお父さんの言葉もある。どんなお名前なのだろう、往時のベビーはあす50歳になる▲「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類には大きな飛躍だ」。船長の言葉は広く知られる。いま、例えば日本が着陸機を月に送り込もうとしていたりと、月面探査は改めて注目されているという▲台風接近で今は雲が空を覆うが、半世紀前の「小さな一歩」と、これからの飛躍と、月を眺めて思いを致したい。(徹)

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