「防サギ」にはシステムが必要だ

©合同会社ソシオタンク

高齢消費者が特殊詐欺や消費者被害に遭うことが続いています。特殊詐欺被害は平成29年には全国で394.7億円にのぼり、被害者の大半を70代、80代の女性が占めています。高齢者をターゲットにした特殊詐欺や悪質商法の被害防止のための活動を行っている「一般社団法人シニア消費者見守り倶楽部」代表理事の岩田美奈子さんによると、詐欺グループが主に活動する時間帯は平日の11時~14時。この時間帯に家にいて固定電話を取る人が狙われており要注意とのことです。

 被害者には基本的に刑事事件を担当している警察官が対応して聞き取りをしますので、どのくらいその中に認知症の人がいるのかははっきりしたデータはありませんが、実際に聞き取りをした経験のある警察官によると、被害に遭った日付を間違えていたり、どのような手口だったのかを思い出せない人もいるということです。認知症、とりわけアルツハイマー型認知症では他者に対する迎合性が高まることが知られていますので、詐欺被害にも遭いやすくなっている可能性があります。

 私たちは京都府警と連携して、高齢者の詐欺被害防止に向けた取り組みを進めています。また、秋田県立大学の渡部諭教授が代表を務める、高齢者の詐欺被害を防ぐしなやか地域連携モデルの研究開発プロジェクトに参加し、認知機能が低下した人の中で特に詐欺被害に遭いやすい人を特定するための基礎的検討を行っています。これらの取り組みを通じて、認知症に関する専門知識を生かして詐欺被害防止に貢献したいと考えています。

 8月10日(土)には、下記のシンポジウムを京都で開催します。さきほどご紹介した岩田美奈子さんも登壇されますし、京都府警から実態に基づいたレクチャーもあります。また終了後には、研究チームで開発した詐欺防止のためのアプリの体験会も開催します。ご関心をお持ちの方は是非ご参加ください。

 

**[一般公開シンポジウム]

高齢者詐欺被害ゼロを目指して**

日時:2019年8月10日(土)13時30分から16時30分(受付開始13時)

場所:キャンパスプラザ京都(4階第2講義室)

参加無料

 

申し込みはこちら

 

プログラム

基調講演 「高齢者の詐欺被害を防ぐしなやかな地域連携の構築」 秋田県立大学教授 渡部諭

レクチャー1 「京都府における詐欺被害の実態と対応」 京都府警本部警部 藤井康伯

レクチャー2 「詐欺被害から認知症の人を守るために」 京都府立医科大学大学院教授 成本 迅

ショートトーク

1)「青森フィールドにおける活動報告」 青森大学教授 澁谷康秀

2)「消費者被害を防ぐ地域の力ー相談につなぐ」 (一社)シニア消費者見守り倶楽部代表理事 岩田美奈子

3)「亀岡市における高齢者詐欺被害の実情と啓発」 亀岡市 篠地域包括支援センター センター長 松本善則

4)「金融機関における詐欺被害防止の取り組み」 京都信用金庫 登壇者調整中

パネルディスカッション
[閉会後にアプリ体験を行います]

成本 迅

平成7年 京都府立医科大学卒業。平成13年 京都府立医科大学大学院修了。
日本精神神経学会・日本老年精神医学会専門医・指導医。日本生物学的精神医学会・日本神経精神医学会・日本老年精神医学会 各評議員。日本老年行動科学会 理事。日本意思決定支援推進機構 理事。
専門領域 : 老年精神医学
研  究 : 精神疾患のニューロイメージング研究、認知症の臨床研究