「差別、虐待のない社会に」 横浜でやまゆり園事件追悼集会

津久井やまゆり園事件で命を奪われた19人を追悼する集会で黙とうする参加者=横浜市港北区の障害者スポーツ文化センター横浜ラポール

 相模原市緑区の県立障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された事件から間もなく3年になるのに合わせ、知的障害者の当事者団体「ピープルファースト横浜」は20日、横浜市港北区で追悼集会を開いた。自分の存在をも否定されたと受け止める当事者たちが、「仲間」を失った悲しみや差別への怒りを胸に前を向いた。

 同団体は「障害者である前に一人の人間であり、自分たちのことは自分たちで決める」という当事者主体の理念を掲げて、1994年に発足。20~70代の男女約20人が月1回の会合で親睦を深め、当事者としての思いをさまざまな場で発信している。

 この日の集会では、殺人罪などで起訴された元施設職員の男が「重度障害者は不幸をつくることしかできない」との主張を続けていることに対し、怒りの声が上がった。同団体会長の小西勉さん(54)は「幸せか幸せでないかを決めるのは自分自身で、誰かに決められたくない。これからも事件について考え続け、差別や虐待のない社会を目指したい」と強調した。

 知人女性が事件で命を奪われた岩村和子さん(58)は「絶対に許さない」と訴えた。20歳のころに県内の入所施設で1カ月ほど共に暮らし、優しくしてくれたことが思い起こされるという。

 梅津忠彦さん(33)は、事件について考えていくために4月から同団体に加入。「二度とあのような職員が現れないよう、障害者ではなく一人の人間として見てほしい」と呼び掛けた。

 また、集会には同団体を応援している社会福祉法人「同愛会」の職員や当事者らを含め計約300人が参加。津久井やまゆり園を出て昨年5月から地域での生活を始めた平野和己さんも訪れ、軽作業に励む日頃の様子が映像で紹介された。

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