ようやく回ってきた出番に驚きの“2発回答”
第43回日米大学野球選手権大会(全日本大学野球連盟、読売新聞社主催)の第4戦が20日、福島・ヨーク開成山スタジアムであり、「6番・DH」の郡司裕也捕手(慶大)が2打席連続のソロ本塁打を放って今大会初スタメンの起用に応えた。侍ジャパンは4本塁打を含む12安打を放って9-1で大勝。3年ぶりの優勝をかけ、21日の最終第5戦(神宮)に臨む。
チームに生まれた怒涛の勢いに乗るように、気持ちよくバットを振り抜いた。3回に4点を先制した直後の4回。先頭の郡司は、全力疾走しながら右中間への打球のスタンドインを見届け、走る速度を緩めた。さらに同じく先頭で迎えた6回、今度は左中間へのソロ。「自分が怖いです」。大勝に導く2連発に、試合後のヒーローインタビューでそうおどけてみせた。
第3戦まで代打で2試合に出場したのみで、快音はなかった。負ければ米国の優勝が決まる第4戦。生田勉監督から「今までベンチの中で溜めてきたアドレナリンを爆発させてほしい」とカンフル剤の役割を期待され、スタメンに名を連ねた。これまでのベンチでの時間も無駄にせず、相手投手の傾向を分析。「ストレートに力がある。始動を早くして前でさばく」。ようやく回ってきた出番に、驚きの“2発回答”だった。
チームの共通意識は「初球からガンガン振っていい」
2本塁打とも「入ると思わなかった」と言うが、裏を返せば迷いなく振り切れたこその打球のひと伸びだった。試合前、まだスタメン出場のない元山飛優内野手(東北福祉大)がナインを集め、こう呼びかけた。
「オープン戦のバッティングを思い出そう」
今大会開幕前の14日に行った広島2軍との試合。野手陣はみなアピールしようと思い切りよく振っていた。その言葉にハッと気づかされた郡司は「初志貫徹の精神」を再確認。「初球からガンガン振っていい」というチームの共通意識にも背中を押され、吹っ切れた結果が奏功した。
前日19日の1安打完封負けから一転、ついに覚醒した侍ジャパン打線。対戦成績は2勝2敗の五分に戻した。あとは、有終を――。両手に残る最高の感触の余韻もそこそこに、郡司が表情を引き締める。「背水の陣から這い上がっていくしかない」。負けられない21日の最終第5戦。その大一番に向かう号砲になったことには間違いない。(小西亮 / Ryo Konishi)