社説(7/21):参院選 きょう投票/未来を見つめ熟慮の1票を

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 6年半余りに及ぶ安倍晋三首相による政権運営をどのように評価するのか。今後も政権の継続を望むのか否か。それが問われているのが今回の参院選である。

 改憲勢力といわれる憲法改正に前向きな議員の議席数が改正の発議に必要な3分の2を維持するのかどうか。政権への評価とともに憲法改正も大きな争点となっている。

 各種の世論調査では、憲法に関する有権者の関心は低いが、改正を巡る動きは選挙後の重要な政治テーマに間違いなく浮上する。この参院選を後に振り返れば、憲法改正を巡る一つの分岐点であったと見なされるだろう。

 憲法記念日の5月3日、安倍首相は改憲派の会合に寄せたビデオメッセージで「憲法9条への自衛隊の明記で違憲論争に終止符を打つ」と表明し、2020年に改正憲法を施行する目標を堅持していると明言した。

 このスケジュールを実現するには、自公、維新、無所属の一部を含め85議席の確保が必要となる。議席を得れば改正に本格的に動き始め、これに近い数字なら多数派工作を展開するなど、首相は残りの任期を憲法問題に傾注するとみられる。

 有権者にとって憲法は優先順位も関心も低く、選挙戦の争点としては迫力を欠いた。それにもかかわらず、今後の国のありようを展望すれば、やはり参院選の最大の論点であるのは、疑いようのない事実である。

 憲法問題とともに選挙戦の焦点となったのは経済政策の是非だろう。金融緩和と財政出動によるアベノミクスによって、雇用に代表される各種の経済指標は好転した。一方で大規模な金融緩和の限界も指摘され始めている。

 国民生活を守るには、何よりも良好な経済状況が基盤となる。長期にわたるデフレ不況が生んだ自殺者の増加や就職氷河期などの再来は、望む者などいない。その意味では景気悪化が確実視される消費税増税の可否もまた重要な争点の一つだ。

 投票に当たっての有権者の判断材料は多岐にわたる。選挙期間中に明らかとなった米国主導の有志連合構想は、本来なら突っ込んだ議論を展開すべき問題だ。与野党ともに議論に及び腰で争点には程遠かったのが残念だ。

 政治に緊張感を持たせるためには、高い投票率が何より効果的なはずだ。投票率は有権者の政治への関心をそのまま裏付ける明快なデータであり、国民の厳しいまなざしと選挙の洗礼こそが緩んだ政治の歯止めとなる。

 統一地方選と参院選が重なる亥(い)年は、選挙疲れで投票率が落ち込むと言われる。しかし、国の将来の在り方を左右する最も重要な国民の権利は参政権だ。この権利を放棄することなく、各党と候補者の主張を吟味し、熟慮した上で1票を投じたい。