「命を守る行動を」

 「…いま診療所の様子見に行って家に戻ったとこ。避難? うん、家のそばまで山が迫ってる立串とか小串は、20人ぐらい集まって来てるて聞いたけど、地区によっては『家の方が安心』っち考えた人も多かごた」▲昨日の午後、新上五島町の職員と電話で話すことができた。立串、小串は旧新魚目町の集落名だ。雨は峠を越えていたようで「空も明るくなってきよる」の声に、こちらもふうとひと息▲豪雨災害の危険度を5段階で表示する新方式が始まって初の大雨特別警報。対馬と五島に「レベル5」が発表された。できることなら願い下げ-の全国一番乗りだ▲〈命を守る最善の行動を〉…「5」では全住民に避難指示・勧告が出る。「家も危ないけど、外に出るのも怖い。言うていいか分からんけど“帳面消し”みたいな感じもするよね」と彼。きちんと危険は伝えましたからね、その先は一人一人の責任ですからね、と▲もちろん新方式がいけないわけではない。つい八つ当たりめいた感想を持ってしまうのは「数十年に一度の雨」が毎年のようにどこかで降る「極端気象」のせい▲日付変わってきょうは参院選の投票日。雨が残る地域もありそうだ。土砂災害への警戒も続けねばならない。投票は大切な用事に違いないが、安全も最優先の一日としたい。(智)

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