「会話する夫婦」「会話しない夫婦」で夫婦関係の落差はなんと9倍

あなたのご家庭では、夫婦の会話は活発ですか?新婚当初はよく話していたのに、徐々に会話が減っていったご夫婦もいらっしゃるかもしれません。

しゅふJOB総研がNHK番組「クローズアップ現代+」と合同で行った調査では、結婚10年以上20年未満の夫婦は、他の年数(10年未満・20年以上)の夫婦と比べて会話時間が少なく、夫婦関係の満足度も低いことがわかりました。

また、夫婦が良く話す内容と話したい内容との間にギャップがあることもわかりました。たとえば、「食べ物のこと」はさして話したい訳ではないのに良く話し、「将来のこと」は話したいのにあまり話せていない、という具合です。

これらの調査結果は番組でも紹介されましたが、番組ではクローズアップ“されなかった”ものの、他にも興味深い調査結果がありましたのでご紹介したいと思います。


夫婦関係の満足度と会話時間の関係

調査対象は既婚者のみで、仕事と家庭の両立を希望する働く主婦層です。結婚年数の平均は16.7年。

まず、今の“夫婦関係”に満足しているかを尋ねたところ、「満足」と「不満」がそれぞれ4割弱、「ふつう」が2割強でした。

有効回答数605人

次に、今の夫婦の“会話”に満足しているかを尋ねてみると、「満足」が4割弱、「不満」が4割強、「ふつう」が2割強でした。“夫婦関係”の満足度のグラフとよく似ています。(n=605)

有効回答数605人

更に踏み込んで“夫婦関係”と“会話”の間にある傾向を把握するため、「満足」と「不満」にフォーカスしてクロス集計してみると、以下のグラフとなりました。

会話は夫婦関係のバロメーター

夫婦の“会話”に「満足」「やや満足」と回答した人の55.2%は、“夫婦関係”に「満足」と回答しています。「やや満足」の33.2%も合わせると、実に88.3%(※)です。

一方、夫婦の“会話”に「不満」「やや不満」と回答した人で“夫婦関係”に「満足」「やや満足」と回答した人は、合わせて9.4%しかいません。夫婦の“会話”に「満足」「やや満足」と回答した人の比率と比較すると、わずか1/9程度です。

これらの結果から、“夫婦関係”の満足度と夫婦の“会話”の満足度は、密接に関係していることが見て取れます。“夫婦関係”の満足度を上げるには、夫婦の“会話”の満足度を上げれば良いようです。

では、夫婦の“会話”の満足度を上げるには、どうすればよいのでしょうか。そのヒントを探るため、平日の一日平均会話時間ごとに夫婦の“会話”の満足度を集計したのが以下のグラフです。

「満足」「やや満足」を合わせた比率は、会話時間の長さにほぼ比例して伸びていることがわかります。

会話時間が長いほど夫婦関係に満足傾向

平日の一日平均会話時間が10分未満の場合、「満足」「やや満足」を合わせた比率は13.4%(※)しかありません。一方、平日の会話時間が3時間~5時間未満の場合、「満足」「やや満足」を合わせた比率は74.2%に及びます。

次に、同じ要領で平日の一日平均会話時間ごとに“夫婦関係”の満足度を集計したのが以下のグラフです。こちらも「満足」「やや満足」を合わせた比率の伸びが会話時間の長さに比例しています。

平日の会話時間が10分未満の場合、「満足」「やや満足」を合わせた比率は15.7%(※)しかありません。一方、平日の会話時間が3時間~5時間未満の場合、「満足」「やや満足」を合わせた比率は80.6%です。

サンプルが12件しかありませんが、会話時間が5時間以上だと「満足」「やや満足」を合わせた比率は83.3%(※)で、「不満」「やや不満」と答えた人は一人もいませんでした。

会話時間さえ長ければ良いのか?

これらのデータを見ると、夫婦関係の満足度を高めるには、ひたすら会話時間を長くすれば良いように思えます。しかし一方で、調査では夫婦の会話に「不満」「やや不満」と回答した人から、以下のような声が寄せられました。

「考え方、感じ方、好み、価値観が合わない」「会話をしたくない」「私の言葉に否定的なことしか言わないから会話した後、気分が悪くなる」

話すことが苦痛になってしまっては、会話自体が成立しなくなります。そうならないためには、言葉遣いや態度などの話し方、そして話す内容が大切です。

そこで気をつけておきたいのが、話す内容と話したい内容との間に生じるギャップです。夫婦の間で話したいことをたくさん話し合えるなら関係性は良くなりそうですが、話したいことを話せず、逆に話したくないことばかり話題にしてしまうと、むしろ会話は苦痛になります。

良く話す内容(現実の会話)と話したい内容(理想の会話)を比較したグラフを見ると、冒頭でも触れたように、ギャップが生じやすい話題が見えてきます。(n=605)

有効回答数605人

たかが会話、されど会話

一方、中には無口なだけで、会話がなくても互いに十分愛情を感じているというご夫婦もいるはずです。あるいは、少ない会話ですべてが分かり合えてしまうご夫婦もいるかもしれません。その場合、夫婦関係の満足度を会話時間の長さで単純に測ることはできなさそうです。

そもそも、会話時間が長いから夫婦関係に満足しているとも言えますが、夫婦関係に満足しているから会話時間が長いとも言えます。どちらの見方が正しいか、一概に決められるものでもありません。

そう考えると、会話時間の長さはバロメーターの一つに過ぎないと言えます。本当に大切なことは、夫婦の間で心が通じ合っていること。そして、それが常に感じられることだと思います。

とはいえ、長い間人生を共に過ごし、自分は心が通じあっていると思っていても、相手はそう思っていない、ということもあるかもしれません。

そんな時、会話は互いの心を確認するための手段にもなります。通じ合っていると思っていても、時には夫婦で会話してつながりを確かめ合う、ということも大切なのではないかと思います。

※単純足し算で生じる0.1ポイントのズレは、小数点以下の誤差による。

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