まるで受験!?サッカーにおける進路問題

サッカーを続けるにあたって避けられない進路問題。そんな進路問題について考察していく。

J下部組織選手達の進路問題

小学生年代のU-12では、お父さんコーチやボランティアがコーチをしている少年団とお金をもらって指導するクラブチーム、そしてJリーグのクラブの下部組織のチームがある。

Jリーグの下部組織はチームによって入団できる学年は変わるが、セレクションに100人以上の選手が

集まる狭き門である。そして、中学、高校に上がるタイミングでそれぞれ上のカテゴリーに昇格できるかが決定する。

昇格を決めるのはチームの監督とコーチ達。多くのクラブは夏から秋にかけて選手、保護者とコーチ陣と面談をして昇格の有無を伝える。関東の某Jリーグのジュニアチームでは7月と9月にジュニアユース昇格の面談が行われている。1回目の7月の段階で昇格を決める選手と2回目の面談に持越しの選手がいる。そして、1回目面談で昇格が決まり、進路の決まった選手達と保留になった選手達で不穏な空気が流れることもあるという。

昇格できない選手達は悪い言い方をすれば事実上の戦力外通告となり、サッカーを続ける場合は他のチームでのプレーを強いられる。

なお、Jクラブの下部組織では上のカテゴリーに昇格できる選手の数は全体の6割くらいと考えられているが、年によっては半分以下の年や8割が昇格できることもあり、その時のクラブの状況によっても異なる。

なお、高校生のユースチームの上はトップチームとなるため、ユースチームの場合はトップ昇格が0人という年もザラにある。

ジュニアからジュニアユースに上がれなかった選手の選択肢としては、他のJリーグの下部組織を受験するか、街のクラブチームか中学校の部活に進むことになる。。そのため、9月頃にジュニアユースに昇格できないことが決まった選手にとってはあまり時間がない。他のJクラブや街クラブに進む場合は所属元のJ下部組織のチームが紹介してくれる場合も多く、ある程度進路の面倒を見てもらえるというが、希望通りのクラブを紹介してもらえる保証はない。

そして、紹介してもらって入るとセレクションを受けて入った選手やその保護者からよく思われない場合もあるだろう。上のカテゴリーに昇格できなかったことでショックもある状態の中で進路のことを考えながらプレーをし続けなければいけない。やはりJリーグの下部組織でプレーする選手達は

とても厳しい環境だ。

複数受験は当たり前?

進路の問題は多くの小中学生の選手やその親たちを悩ませている。小学生から中学生にかけては、部活かクラブチームのどっちでサッカーを続けるかまず決める必要がある。

Jの下部組織や街クラブだけでなく、強豪私立中学校のサッカー部に進むのも選択肢の1つだ。

公立中学のサッカー部は1番経済的負担は少なく、学校のグランドで練習すらため、時間もかからないが、サッカーを専門とする指導者でない場合も多い。専門的にサッカーの戦術を学ぶには、クラブチームに行ったほうが良い場合が多い。ただ、クラブチームに入っても当然勉強する必要はあるため、勉強と両立しなければならない。

クラブチームに関しては複数のチームを受験し、合格した中から行きたいチームに入団するのが一般的だ。そのため、本命から滑り止めまで受験し、まさに学校の受験と状況だ。

そして、チームによって入団の可否を他クラブのセレクションの結果が出るまで待ってくれるか

変わってくる。街のクラブチームも運営していくためにある程度選手を確保しなくてはいけない。

そのため、早いうちからスカウティングやセレクション、練習会で選手の入団を確定させたい事情がある。

そして、セレクション受けたり、練習会に参加するクラブが増えれば増えるほどお金も時間もかかる。所属チームの練習を欠席する必要が出てくる場合も当然あるだろう。また、U-12とU-15のあるクラブだとU-12の中からU-15に進むか、外部のチームに行くか選択する場合もあり、進路問題には

様々な状況がある。通える範囲に選手のレベルに合ったチームや雰囲気の良いチームがある保証はない。放課後に電車でクラブチームの練習に行く選手も少なくはない。クラブチームともなると試合も増え、交通費や遠征、合宿などお金も多くかかる。そのため、経済的な事情で学校の部活動でサッカーを続ける選手も多くいる。

また、クラブチームに入団したものの”試合への出場機会が少ない”ことや”勉強との両立ができない”など様々な理由でクラブチームを退団し、部活に移籍する選手もいる。

ここまで触れてきた話はほんの1部で、進路問題にはもっと多くの問題がある。ただ、いずれにしても1つ言えるのはプロ選手を目指している場合でもそうでない場合でも、選手が楽しくサッカーを

続けることがチームを選ぶ上で1番大切ではないだろうか。

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