<参院選東北>政権へ再び厳しい評価 1強のおごりに不信感

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 6年半にわたる安倍政権の評価が問われた第25回参院選で、東北6選挙区(改選数各1)は野党統一候補が自民党候補との競り合いを相次いで制した。全国で与党が堅調に議席を伸ばしたのに対し、東北の有権者は自民が1勝5敗の惨敗を喫した2016年の前回参院選と同様、現政権に厳しい評価を下したと言える。

 自民は東北の全選挙区を「激戦区」に指定し、選挙序盤から党幹部、政権幹部を次々と投入した。精力を傾け、経済政策の果実や安定政権の必要性を強調した自民の戦術は空回りした。

 全選挙区で候補者を一本化した野党は消費税増税や年金の在り方など暮らしに直結する問題を突き、集票につなげた。候補者の個性を生かす訴えで無党派層も取り込んだ。

 東北は人口減少が加速し、経済政策の効果は薄い。東日本大震災や東京電力福島第1原発事故の被災地には風評なども含め影響が色濃く残る。

 閉塞(へいそく)感が地域を覆う中で打開策を明確に示せず、成果ばかりを強調する1強の政権運営は東北で共感を呼ばなかった。そればかりか置き去り感をも際立たせ、有権者の不満と不安を増幅させた。

 長期政権のおごりも怒りを買った。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入を巡る不手際が引き金になり、秋田で敗北を喫したのはその証左だ。安倍首相や政権幹部らが足を運び、頭を下げても不信感は拭い去れなかった。

 東北の野党共闘は、反自民票の受け皿として前回に続いて一定程度、機能したと言えるだろう。ただ、旧民進党分裂の影響が尾を引き、前回ほどの一体感が生み出されていたかどうかは疑問も残る。

 東北の有権者は2度の参院選で、全国の流れとは一線を画すメッセージを投げ掛けた。与党は地方政策の在り方に加え、各地域での政治活動にも異議を唱えられたと受け止めるべきだ。

 2020年には東京五輪・パラリンピックがある。安倍首相は20年の改正憲法施行を念頭に置く。大きな政治課題や世界的なイベントが控える中で、重責に誠意を持って向き合わなければ期待は瞬く間に失望に変わる。 (解説=報道部・土屋聡史)