参院選の投票率は48%で戦後2番目の低さに!世界的にも低い投票率から考えるこれからの投票啓発は?|参院選2019

第25回参議院議員通常選挙(以下、今回の参院選)の投開票が7月21日に行われました。今回の参院選の投票率は48.80%となり、戦後最低だった1995年の参院選に次いで2番目に低い結果となりました。

選挙における低投票率は続いている

>>年代別・選挙別に振り返る参院選の投票率|今回の参院選の投票率はいかに?!

今回の参院選の投票率48.8%をはじめ、直近5回の国政選挙(2013参、2014衆、2016参、2017衆、2019参)の投票率は軒並み50%台前半にとどまっています。

総務省選挙部「目で見る投票率」平成29年1月

また、地方選挙に目を向けてみても、4年に一度行われている統一地方選挙の投票率は下がる一方です。
今年4月に行われた第19回統一地方選挙では、道府県議選(44.0%)、政令市長選(50.9%)、政令市議選(43.3%)、市長選(47.5%)、市議選(45.6%)、区議選(42.6%)、町村長選(65.2%)、町村議選(59.7%)と軒並み過去最低の投票率を残しています(区長選のみ0.1%増の44.2%)。

G20の中で投票率が最も低いのは日本!?

参院選と統一地方選が重なる12年に1度の「亥(い)年選挙」の年の参院選は投票率が下がる傾向にあるとされていますが、今回の参院選の投票率は戦後2番目の低さ、というのは驚きです。
では今回の参院選が始まる直前、6月28・29日に大阪で行われたG20サミットの参加国の中で投票率を比べてみましょう。投票率上位の国には投票が義務である「義務投票制」を導入している国が並びますが、それらの国を差し引いても日本における今回の参院選の投票率48.8%というのはG20の中で最も低いことがわかります。この数字はOECD加盟国の36カ国の中で比べてみてもスイス、ルクセンブルク、チリに次いで下から4番目の低さです。

※1 出典:アルゼンチン、ロシア以外・OECD Society at a Glance 2019 アルゼンチン、ロシア・Institute for Democracy Electoral Assistance, Voter turnout Database ※2:G20のうち中国、サウジアラビア、およびEUは含めていません

上位にある、トルコ(89.0%)、オーストラリア(79.0%)、アルゼンチン(76.7%)は投票を義務化していることもありますが、それ以外の投票は権利(義務ではない)行使とする国においても、近年で50%を切ったのは日本だけということが解ります。

従来型の投票呼びかけは曲がり角?

1990年代以降、投票率の低さが危惧されるようになってから硬軟織り交ぜた様々な投票啓発の試みや投票率向上の試みが行政・民間・学生問わず行われてきました。典型的なものとしては各地の選挙管理委員会や今回も総務省が行ったような、タレントや芸能人を起用して投票を呼び掛ける試みです。

第25回参議院議員通常選挙 総務省の特設サイト

他にも選挙ドットコムで過去に取り上げた以下のような事例があります。

>>コップのフチ子が「京都フチジ選のフチ子」に。ゆる~いPRで投票率は上がるのか?

ただ、こうした試みは以前から行われているものの、今回の参院選や直近の国政選挙・統一地方選が示すように投票率の向上は実現していないのが現状です。

一方、これらとは異なるトレンドで近年広がっているのが選挙ドットコムでも取り上げた民間企業や団体による「選挙割」などの、投票に行くことでサービスや特典が得られる取り組みです。

>>選挙割がお得すぎる!!ラーメンやタピオカなどの飲食店から、温泉や映画館、なんと墓石まで登場。| #参院選2019 センキョ割

>>統一地方選の投票済証を持って音楽フェスを楽しもう!

 

問われるこれからの投票啓発・選挙啓発のあり方

民主主義の根幹をなす選挙、そしてその投票率が低いことは少なくとも望ましいことではないはずです。これは民主主義のひとつの危機だ、というと大げさかもしれませんが、今回の参院選の投票率が示すように従来の選挙啓発・投票啓発では、選挙や政治への興味を持つきっかけにもならず、今後も期待できないのではないか?と言わざるを得ません。

選挙ドットコムはモットーとして「投票率アップに貢献する、そのために選挙をオモシロク、わかりやすく」を掲げていますが、結果を生み出せていない現状を反省しております。今後はこれまで以上に柔軟な考え方で新しいことへチャレンジし、「豊かな政治コミュニケーション」を育み、投票率の向上とインターネット上での健全な政治活動の場を広げていくために頑張っていきたいと思います。

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