【改憲3分の2割れ】丁寧な政権運営を望む(7月22日)

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 第二十五回参院選で、安倍政権下の憲法改正に前向きな「改憲勢力」は三分の二議席を割った。与党の自民、公明両党の当選者数は、改選百二十四議席の過半数六十三を超えた。

 与党が衆院と同じく多数を占める構図は変わらず、安倍晋三首相による政権運営は続く。これまでの国会で丁寧とは言い難い閣僚の答弁や法案審議が時折、見られた。謙虚な姿勢でのかじ取りを望む。

 政府、与党は参院選後の臨時国会を八月一日に召集して参院の正副議長を選び、五日閉会の日程で調整している。九月半ばに内閣改造と自民党役員人事を行う方向で、十月上旬に臨時国会を改めて召集する見通しが強まっている。

 多くの国民は公的年金を巡る不安の解消に期待を寄せる。公的年金財政の健全性を点検する五年に一度の「財政検証」は六月に公表される見込みだったが、参院選後に先送りされた。九十五歳まで生きるには公的年金以外に夫婦で二千万円の蓄えが必要とした金融庁金融審議会の報告書の取り扱いも、いまだに釈然としない。政府はしっかりと説明してほしい。

 改憲案の国会発議には衆参両院で三分の二以上の賛成が必要だ。安倍首相が強い意欲を示しても、国民の関心は高くない。共同通信社が七月中旬に行った全国電話世論調査によると、安倍政権下での改憲に反対は51.4%、賛成は34.2%だった。世論調査の結果から経済対策や子育て支援など、暮らしに密着した問題の解決を優先しているといえよう。

 本県選挙区(改選一議席)は自民党公認で公明党推薦の現職森雅子氏が当選した。県民にとって、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興政策が最も気掛かりだ。安倍政権は二〇二〇(令和二)年度末で終わる復興・創生期間後の施策、復興庁の後継組織、財源をどうするのかを早急に示すべきだ。

 東電は福島第二原発の廃炉を月内にも正式決定する方針を固めた。小早川智明社長が昨年六月に方針を表明してから一年余りがたつ。正式決定後、速やかに廃炉作業に入れるのか疑問だ。政府は東電に対する指導力を十分に発揮する必要がある。

 全国規模で実施される次の国政選挙は衆院選となり、任期満了の二〇二一年十月までの二年三カ月の間に行われる。衆院選は政権を任せられる政党と候補者を選ぶ。与党が参院選の公約を実行していくのかを、有権者は日頃から厳しく見極めなければならない。(川原田 秀樹)