「結果」はこれから

 今はどうだろう。以前は選挙のたびに、投票所に早朝から「一番乗り」するのが習いというご年配の方がいて、それを誇るコメントが紙面に載った▲一番乗りかどうかは別にして、これまで朝早く投票してきたが、きのうばかりは朝を避けた人もいたはずだし、雨の中、投票所に向かった人もいただろう。県内が記録的な大雨に見舞われた翌日も、昼ごろまで時折、激しく降る所があった▲雨はいくらか投票率に影響しただろうか。きのう開票された参院選で長崎選挙区の投票率は、これまでで最低の45.46%。年金不安、憲法改正、消費税、安倍晋三政権の是非と、与野党の対立軸ならばあったのだが、議論が深まったとは言い難い▲これを安倍首相の言う「政治の安定」と呼ぶべきか、第2次安倍政権の発足から6年半、自民・公明党で改選議席の過半数を占め、与党連勝が続く。長崎選挙区では現職の古賀友一郎さんが再選を果たした▲言うまでもなく、昨晩の勝敗とは選挙結果であり、政界勢力図を表すのであって、当選者一人一人が「結果」を出すのはこの先になる▲これもまた言うまでもない。ひとまとめに語られがちな「得票数」も、有権者一人一人の、例えば傘を手に投票所へと向かった行動の積み重ねだと、どうぞ忘れずに。(徹)

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