トヨタ8強 4番・沓掛が2戦連発の先制弾「前と後ろには“最強”の先輩がいる」

トヨタ自動車が5-2で三菱自動車岡崎に勝利

主砲が2試合連続のホームラン「僕の前と後ろには“最強”の先輩がいるので」

 第90回都市対抗野球大会は22日、3回戦が行われ、トヨタ自動車(豊田市)が効果的に得点を重ねて三菱自動車岡崎を5-2で下し、8強進出を決めた。

 トヨタは4回に沓掛(くつかけ)の2戦連発となる今大会2号ソロで先制すると、5回には敵失の間にさらに1点を追加。しかし7回、それまで三菱自動車岡崎打線を無安打に封じていた先発の栗林がつかまった。先頭の豊住のフライを左翼手・八木が落球し出塁を許し、福永の右翼線への二塁打で1点を返される。続く小室を見逃し三振で2死までこぎつけたが、堂に左越え三塁打を浴び同点に追いつかれた。

 すると、直後の8回に打線が奮起。横澤の適時打など3連打で1点勝ち越しに成功。9回にも2点を追加し、三菱自動車岡崎を突き放した。先発の栗林が7回途中2失点(自責0)と試合を作り、7回のピンチをしのいだ2番手の川尻が勝利投手に。最後は佐竹が2回を1安打に抑え逃げ切った。

 試合の均衡を破ったのは主砲の一発だった。4回、沓掛が1死走者なしの場面でバッターボックスに入ると、三菱自動車岡崎の先発・仲井の高め直球を振り抜き、左翼スタンドに先制のソロアーチをかけた。16日の三菱日立パワーシステムズ戦では8回に起死回生の逆転満塁弾を放ち、チームに勝利を呼び込んでいた4番の一撃でチームは勢いに乗った。

 4回の攻撃前にはベンチ前で円陣を組み、「とにかく先制点を」と自らチームを鼓舞。その一振りで欲しかった先制点を手にした。今大会2本目のホームランを放ったが、沓掛は「(8回の)チャンスの場面で打てなかったことが悔しい」と反省。「ホームランでも、タイムリーでもいい。打点が欲しいです」と“点取り屋”としての自覚を口にした。

 慶大から入社して3年目の今季、4番として古豪・トヨタ打線を牽引するが、「プレッシャーはない」ときっぱり。そして、「どうせやるなら楽しく。僕の前と後ろには“最強”の先輩がいるので」と話す。前を打つ3番には主将・樺澤、そして5番には本大会で首位打者賞に輝いた実績を持つ多木が座る。「予選では足を引っ張ってしまった。都市対抗では絶対に打つ」。強いまなざしで語った沓掛が、2016年に初優勝を達成して以来の日本一に向けて突っ走る。(安藤かなみ / Kanami Ando)

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