横浜市内のいじめ2件、学校の対応不十分 第三者機関

 横浜市教育委員会は22日、いじめ防止対策推進法に基づく重大事態調査の結果、市立中学校と小学校でいじめが1件ずつあったと認定して調査した報告書をそれぞれ公表した。調査した第三者機関は、2件とも学校の不備を指摘。教員がいじめの有無や実態を把握する努力をせず、危機感が低かったなどとした上で、組織的な対応がなされていなかった点を問題視した。

 市教委が公表した資料などによると、市立中学校で2016年度、2年時に転入してきた女子生徒がいじめに遭った。生徒が転入前に会員制交流サイト(SNS)に書き込んだ内容の一部だけを切り取られる形で広められ、転入後、生徒は学年全体から仲間外れにされていると感じた。さらに机にのりが塗られたり、男子生徒から「もう(学校に)来るな」と言われたりして不登校になり、欠席日数は約90日に達した。3年への進級を機に転校した。

 第三者機関の市いじめ問題専門委員会は報告書で、学校がいじめと認知しつつ実態把握する努力をせず、欠席が30日を超えてもいじめと関連していると考えなかったなどと説明。生徒が小学校時代にいじめを受けていた事実も踏まえ、適切な支援ニーズを把握する必要があったと結論付けた。

 小学校では、18年度当時1年の児童がいじめられた。持ち物を壊されるなどし、保護者が担任に伝えたものの、学校の対応に不信感を覚えたため、市教委に調査を申し立てた。児童はその後、転校した。

 保護者の意向に基づき、学校や市教委の対応を調べた専門委は報告書で、学校がいじめの疑いを認識していたにもかかわらず、学校内に設置する「いじめ防止対策委員会」をすぐに招集せず、経験の浅い担任を支援する体制にもなっていなかったと指摘した。

 その上で、入学間もない児童が安心して通えるよう組織的に対応するとともに、保護者と信頼関係を構築する必要性があると指摘。対策委の常設や月1回以上の定期開催などを求めた市の方針を教職員に周知徹底すべきとした。

 市教委による重大事態調査は計13件が終了。調査中は7件となった。

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