民意の行方・上 <選択> 論戦低調 投票率は戦後最低

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再選を決め、支持者らと握手する古賀氏=長崎市、県医師会館

 参院選長崎選挙区は、自民現職の古賀友一郎氏(51)が、野党共同候補で国民民主新人の白川鮎美氏(39)らを押さえて再選した。自公政権の継続による政治の安定か、1強打破かを巡り、事実上の与野党対決となった選挙戦の舞台裏と民意の行方を探る。
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 投票が締め切られた21日午後8時。古賀氏の支持者らは長崎市茂里町の県医師会館で開票速報を伝えるテレビ画面に見入っていた。だが、古賀氏「当確」のテロップがなかなか出ない。「(開票率ゼロ%での)ゼロ当確だと思っていたのに」-。微妙な空気が流れた。結局、古賀氏が支援者らと万歳を始めたのは、初陣だった2013年参院選の時と比べ、約30分遅いタイミングだった。
 「負けることはないでしょう」。選挙序盤から古賀氏の優勢が伝えられ、公示日の出陣式であいさつに立った自民国会議員からはこんな本音も飛び出した。内閣支持率が堅調に推移する中、別の自民国会議員は「太郎でも次郎でも勝てる」。要するに誰が出ても勝てると踏んでいた。だが-。
 古賀氏は前回、民主現職(当時)に17万票余りの大差で圧勝。今回、終わってみれば政治経験ゼロの白川氏に3万4千票余りに迫られる“接戦”だった。懸念されていた自民県議団の会派分裂の余波。選挙戦で県連幹部は「影響はない」と強調してみせたが、古賀氏への不満は自民県議団の中などにくすぶっていた。
 古賀氏と距離を置く会派の県議は「日ごろの付き合いの中で、地域の課題に触れれば支援の輪が広がるのにそれをやっていない」。厳しい指摘は古賀氏と近い会派の県議からも聞こえる。「自民が選挙で強いのは“自分党”だから。(党営選挙に頼るのではなく)自前の(しっかりとした後援会)組織をつくらないと」
 公明との選挙協力にすきま風を感じさせる数字も。投票日の長崎新聞社の出口調査によると、公明支持層の有権者のうち古賀氏に投票したのは約6割にとどまり、4割近くは白川氏に流れていた。
 一方、長崎市江戸町の白川氏選挙事務所。21日午後8時半ごろ、当選確実の報を受けて喜ぶ古賀氏の姿を、白川陣営はテレビ画面越しに苦々しく見つめていた。「仕方ない」「知名度ではかなわない」-。重苦しい空気に包まれた。
 だが、各地の開票結果が出始めると、空気は少しずつ変わった。データが軒並み“接戦”ぶりを示していたからだ。「当確が誤報だったら」と淡い期待を口にする関係者もいたほどだ。
 年金不安、消費税増税、憲法改正-。争点はいくつかあった。ただ、古賀、白川両氏の論戦は深まらないまま参院選は終わった。長崎選挙区の投票率は戦後最低の45.46%。有権者数に占める古賀氏の得票率は約23%。民意の選択は本当に「政治の安定」だったのか。
 一夜明けた22日。最終開票結果を知った白川陣営の関係者は一様に悔しさをにじませた。「あと一押しだった」。一人が新聞の見出しに躍る「猛追かわす」の字を指してぼやいた。「もっと早く猛追できていれば」