シャンパンがタダ⁉ 「高級ホテルのクラブラウンジ」はおトク度抜群

ホテルには様々なカテゴリーがあることは前回解説しました。

「ホテルの無料サービス」の活用術を取り上げたこの特集。前回はビジネスホテルを中心に紹介しましたが、今回はフルサービス型(レストランなどや宴会、婚礼といった多彩なサービスを提供するタイプ)のホテル、中でも外資系を代表とする高級ホテルの意外でお得なサービスを紹介します。※ここでいう無料サービスとは別途料金加算なしで利用できるサービス、または有料サービスとの対比表現を指します。


高級ホテルほど大きい「最高値と最安値」の差

高級ホテルといえば“お金持ち御用達のホテル”というイメージでしょうか。確かに気軽には利用できないハードルの高さを感じます。高額な宿泊料金はいうまでもありませんが、一方で相応の質の高いサービスを享受できるのは魅力でしょう。

概して高い料金ではありますが、なるべく安価に体験したいということであれば、オフシーズンで料金の安い日を狙うのは定石。

一般論として料金が安い日=稼働率が低い日であり、曜日でいえば日曜日や月曜日は安くなる傾向があります。そして最高値と最安値の料金差は高級ホテルほど大きいといえます。

クラブフロアとは

もし安いプランが見つけられたら、お得に予約できた分ちょっと上乗せして“ちょっとリッチな体験”をオススメします。このようなホテルでは、低層階がスタンダードで高層階になるほど客室グレードをアップするといった多層的なケースが多くみられます。

このようなホテルのアッパーフロアで見かけるワードが「クラブフロア」や「エグゼクティブフロア」。このエリアに宿泊するゲストのみが立ち入ることができる“サンクチュアリ(聖域)”ともいえる空間です。

客室そのもののしつらえや調度品、眺望など一般の客室とはワンランク上というのは当然として、注目すべきは提供されるサービスの多彩さ。まずチェックイン手続きから違います。

フロントで列に並ばずとも、クラブフロア予約者専用のデスクが設けられスムーズなチェックインが可能。また、プール、ジムといったヘルスクラブ等の無料利用など特別なサービスが提供されます。何よりの魅力は“ラウンジのアクセス権”でしょう。高級ホテルとクラブラウンジとは切っても切り離せません。クラブラウンジのないホテルは高級ホテルではないといえるほどです。

加算料金の価値は十分にある

ラウンジでは、アフタヌーンティータイムにコーヒー・紅茶にデザートが、パブタイムではビールやワインにシャンパンなどアルコール各種、オードブルも用意されます。また、充実の朝食も付いています。

これらは全て宿泊料金に含まれ“無料”なのです。何よりゆったりしたソファやテーブルが並び、専門のスタッフも配される贅沢スペースです。さぞかし高いのだろうと思いきや、スタンダードな客室の宿泊料金に1万円~程度の加算というホテルもみかけます。

例えば1室2名利用のルームチャージ2万5千円であれば3万5千円~といったイメージ。もちろんホテルによりまちまちで、もっと加算が必要なケースもありますが“クラブフロア宿泊プラン”等、かなりお得なクラブフロア利用プランを提供するホテルもあります。

この1万円~の加算を高いと思うか安いと思うかは、個々人の価値基準があることは言うまでもありませんが、筆者個人としては決して高くはないという印象です。

たとえば、ホテルでアフタヌーンティーを楽しめば、ひとり3000円くらいでしょうか。ダイニングでオーダーするシャンパンなら1杯2000円くらいはするでしょう。シャンパン2~3杯に料理2~3品を注文しサービス料も支払えば1万円なんてあっという間。一方のクラブラウンジならば“フリーフロー”です。つまり飲み物や食べ物はお代わり自由(もちろん洗練された雰囲気でもあり節度ある利用は当然のマナーであることは言うまでもありません)。

翌朝のラウンジ朝食も2000円以上の価値はあるでしょう。ジムやプールの利用も本来なら3000円はかかるでしょうか。このように、クラブフロアのゲストが無料で利用できるサービスの対価を合計すれば1万円はゆうに超えます。加えてハイグレードな客室、何より上客扱いされるのは気分が良いものです。

筆者の場合、執筆などでホテルに籠もることが多いので、特にワーキングスペースがあるクラブラウンジは有効活用しています。混雑することはあまりなく(時間帯や稼働によっては混むことも)、客室でのデスクワークに飽きたら仕事を持ち込んでの気分転換も良いものです。

ここで筆者が最近出向いた中から3つのラウンジを紹介します。

名古屋マリオットアソシアホテル 15F「コンシェルジュラウンジ」(名古屋市中村区)

2019年4月にリニューアルオープンした15Fにあるラウンジです。約320平方メートルという広々空間には5つの異なるエリアがあります。

圧巻なのは約12mの天井高と大きな窓。秀逸なゾーニング(空間をテーマや用途に分けて配置すること)でアクティブに、しっとりと、プライベートに……それぞれの時間が過ごせます。

スイーツ、オードブルがケースに並ぶ様はまるで宝石箱。女性目線も意識したディスプレイです。ホテルクラブラウンジの新たなフェーズを感じます。

グランドプリンスホテル新高輪 1F 「CLUB LOUNGE」(東京都港区)

2018年12月にリニューアルオープンしたラウンジです。特徴的なのは開放感溢れるテラス。オープンエアのスペースを有するクラブラウンジは希有といえるでしょう。四季折々の空気を感じることが出来る高輪エリアのプリンスホテルならでは。

その他にも2つのダイニングエリア、ラウンジエリアなど個性ある5つのエリアが用意されています。

朝食では、目の前で卵料理を焼き上げるエッグステーションが新設されました。

グランド ハイアット 福岡 5F「グランド クラブ ラウンジ」(福岡市博多区)

福岡を代表するラグジュアリーホテルにあるラウンジ。明るく開放感溢れるエリアで、ほどよい広さにソファやテーブルが余裕を持って配置され、ラウンジとしての使いやすさは抜群です。

何よりラウンジ専任スタッフのホスピタリティマインドが印象的。まるで我が家に帰ってきたかのような温かさがあるのは、プライベート感の高いスペースならではといえるでしょう。

スイーツやオードブルも工夫が光り訪れる度に新たな発見があります。


いかに安くいい思いをするのかを“コスパ”とすれば、クラブフロアの宿泊は支払った料金以上に価値のある“バリュー”ともいえるでしょう。タイミングさえ合えば高級ホテルのクラブフロアを予約し、クラブラウンジの悦楽体験をしていただければと思います。

※クラブフロアには多様な形態があり、本文に記載したケースとは異なる場合もあるので、実際に利用する際には詳細の確認を。また掲載の情報・写真等は取材時のものです。最新の情報は各ホテルへお問い合わせください。

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