「触り心地いい」「鉛筆が吸い付く」 注目集めた「投票用紙」...開発9年、その書きやすさの秘密は?

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2019年7月21日の参院選。投票所へ足を運び、投票用紙を手に取った時の触り心地に驚いた。一見普通の紙に見えるが、それほど柔らかくなく、しっかりとした素材でできている感触だった。それでいて、鉛筆の筆先が紙に着いたときは、滑りにくくて書き込みやすかった。

今回の参院選は白(比例代表)とクリーム色(選挙区)(テラック投票用紙BPコート110(ムサシのサイトから))

ネットでも、記者と同じような反応が多く上がっている。ツイートなどを見ると、「ユポ紙」と呼ばれるものらしい。いったいなぜ書きやすいのか。J-CASTニュースは23日、専用の投票用紙を販売するムサシと、「ユポ」を開発したユポ・コーポレーションの2社にそれぞれ話をきいてみた。

担当者「紙とフィルムの中間のような触り心地」

ヤフーのリアルタイム検索によると、参院選の期日前投票最終日の7月20日から投開票が終了した22日の3日間で、「ユポ紙」と投稿した書き込みは、約1万4600件を超えていた。

筆者と同様、ツイートには、

「触り心地いい」

「サラサラで鉛筆が吸い付く」「1度は触るべき」

など、感触が良いといったコメントなどが相次いだ。

そもそも「ユポ」とは何なのか。それは、ユポ・コーポレーションという合成紙メーカーが独自の製法で開発した「フィルム法合成紙」で、合成紙の「ブランド名」だと、同社広報担当者は述べる。

「紙とフィルムの中間のような触り心地」であると述べる担当者は、

「普通の紙というのは木材パルプ、森林資源由来ですが、当社の『ユポ』という合成紙については合成樹脂『ポリプロピレン』を主原料としている。つまりプラスチック製」

であるという。

また投票用紙自体は、選挙関連機器を手掛けているムサシと共同研究・開発で作ったもので、その素材に「ユポ」が使用されているという。

ムサシの広報室長・篠沢康之さんは、J-CASTニュースの取材に対して、投票用紙の「正式な商品名称は『テラック投票用紙BPコート110(以下BPコート)』であり、「『BPコート』を『ユポ紙』というと事実と違い、投票用紙用に『ユポ紙』を改良・加工したもの」であると述べた。

「ユポ紙」を鉛筆で書けるように表面加工+「票」計数機のローラーとの「摩擦係数」調整

ムサシは紙幣整理機や投票用紙計数機などを開発する機械メーカーでありながら、創業当時から現在まで、「紙」の卸販売を行う「商社」としての側面をもっている。それゆえ「製紙メーカー」との接点があったという。

篠沢さんによれば、「BPコート」は1980年に開発着手し、1989年から販売しているという。約9年の時間を費やして「試行錯誤し研究」を進めたという。

「折っても開くという性質が『ユポ紙』にあったので、目を付け、ユポに話を持ち掛けた。ただしユポ紙そのものでは使えなかったので、加工を施して、共同研究・開発をした」

開発当初、改善点は2つあったらしく、

「そのままだと『フィルム』なので表面がツルツルしている。この『ユポ紙』のままだと書けない。投票用紙として使えなかった」

「投票用紙を数える機械などはゴムローラーで束の用紙を一枚一枚、出すつくりになっているため、表面がツルツルしている『ユポ紙』では使えなかった。表面を加工することによって、(丁度いい)摩擦係数まで歩み寄っていった」

と述べた。

現在、全国への普及率は「100%」で、発売当初は各地方自治体に商品案内を行い、地方選挙への導入を進めた。国政選挙にも採用され、2012年の衆議院選挙で沖縄県が導入し、47都道府県すべてに普及された。それ以降の選挙(国政・地方に関わらず)にはすべて「BPコート」が使われているという。

なお「ユポ」はそのほかにも「ビールの缶のキャンペーンシール」「選挙ポスター」「屋外にはるポスター」「飲食店のメニュー」などにも使われている。

(J-CASTニュース編集部 井上祐亮)