母の死、平和への願い 永井博士の娘 茅乃さん著書 朗読会 浦上キリシタン資料館

約30人が聞き入った筒井茅乃さんの本の朗読会=長崎市、浦上キリシタン資料館

 被爆医師で著作を通して平和を訴えた故永井隆博士の娘、筒井茅乃(かやの)さん(2008年に66歳で死去)が生前まとめた本「娘よ、ここが長崎です」の朗読会が20日、長崎市平和町の浦上キリシタン資料館であった。市民団体「アジェンダNOVAながさき」と同館が企画、約30人が聞き入った。
 茅乃さんは3歳のとき長崎市内の疎開先で被爆した。爆心地近くの自宅で亡くなった母の遺骨を見せられたが、すぐに死を理解できなかったことや、永井博士との生活、茅乃さんに娘が生まれた際、平和を願って「和子」と名付けたことなどが本に記されている。
 本を抜粋し約40分間、被爆2世の綾部文香さんとフリーアナウンサー前田真里さんが写真やBGMを背景に交互に朗読。茅乃さんの生前の映像も流された。
 茅乃さんと純心女子高で同級生だった大串照子さん(77)=同市上野町=によると、茅乃さんは「きりっとした人」で、若いころは「周りから父のことをいろいろ聞かれるのでいや」と話していたという。大串さんは「懐かしかった」と語った。

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