安心のマーク、150カ所に広がる 横浜市が考案

利用客にも分かるよう、防火戸ピクトグラムのステッカーを各所に貼り付けているホテルニューグランド =横浜市中区

 横浜市が考案した「防火戸ピクトグラム(絵文字)」の活用が市内の公共施設やホテルなどで進んでいる。防火戸は火災の拡大を防ぐ重要な設備だが、その役割が十分に理解されていない現状があるという。ピクトグラムのステッカーを貼り付けることで適正な管理や周知につなげ、スムーズな避難で一人でも多くの命を守る狙いがある。

 市違反対策課によると、建築基準法でビルなどへの設置が定められている防火戸は、階段やエレベーター付近などに設けられ、火災時に自動で閉まるタイプと常時閉鎖式がある。避難経路を確保する上で重要だが、査察などの際に、防火戸の前に物を置くといった違反が見つかるケースが多いという。

 このため昨年7月、ピクトグラムを考案。赤を基調に「炎を遮断する扉」をイメージしたデザインとし、外国人でも一目で分かるよう「Fire Door」と併記した。「開けたら閉めて(Keep Closed)」「物を置かないで(Keep Clear)」といった管理上の注意点を記したタイプも用意している。

 市役所や区役所、消防署で昨年度から使い始めたほか、希望する民間施設にもステッカーを配り、普及を図っている。市違反対策課によると、病院やホテルなども含め150施設(今年6月末現在)で活用されているという。

 老舗のホテルニューグランド(中区)は4月から、ステッカーの貼り付けを開始。館内の雰囲気との調和を図りつつ、「安心のマーク」と位置付けて積極的に活用している。「従業員が自らの命を守らなければ、お客さまの命も守れない。安全への意識がさらに高まるようにしたい」と啓発効果も期待している。

 市違反対策課は「市内だけでなく、全国にも広めていきたい」としており、今後申請を受け付ける方向で検討している。

 問い合わせは、同課電話045(671)3856。

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