SB国際会議2019デトロイト参加報告会――第2回SB-Jフォーラム

サステナブル・ブランド国際会議の法人会員コミュニティ「SB-Japanフォーラム」。今年度の第2回フォーラムが17日、開催された。6月に米国デトロイトで開催されたフラッグシップイベント「SB国際会議2019デトロイト(以下、本会議)」に参加した青木茂樹氏などが、新たに発表された企業の動向や、学びを共有した。後半には来年2月に開催されるSB2020YOKOHAMAに向けて、フォーラム参加者がブレイクアウト・セッションを考案するワークショップが行われた。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局)

本会議で参加者に大きなインパクトを与えた発表のひとつが、「#BrandsforGood 」の始動だろう。業界を横断して企業が集まり、ブランド力を発揮し社会をグッド・ライフへと先導しようというイニシアティブだ。P&GやVISA、ペプシコなど売り上高6-7兆円規模の大企業が協働する。青木茂樹・サステナブル・ブランド 国際会議アカデミックプロデューサーは「企業がブランド力を発揮して消費者を巻き込み社会を変えようという動きこそが、#BrandsforGoodだ」と説明した。

黒船ならぬGreen Shipの船出 #BrandsforGood で企業の力を示せ 

本会議で発表されたもうひとつの新しい動きが、「SB Brand Transformation Roadmap(以下、BTR)」だ。サステナブルなブランドを目指す上で、客観的評価として自社の現在の立ち位置や進捗がどこにあるのかを、可視化するためのツールだという。

「サステナブル・ブランドを目指す上で、企業の進捗にブレーキがかかる要因は、大きく3つあると分析される」と県立広島大学の江戸克栄教授は説明する。その3つとは・We are lost! (迷子・孤立感)Looking for the right partners(外部の連携先)We are doing enough? (将来とその方向性)だ。BTRは100問以上の設問から指標を導き出し、これらブランドの課題に指針を与える。

「指針が『CSR』ではなく『サステナブル・ブランド』だということが既存のESG評価とは違う点」と江戸教授は話す。「ブランドのパーパス(存在意義)の重要性が全面に押し出されている。『サステナブル・ブランド』という場合には、パーパスの社内での位置づけなど、それ自体の評価が必要だ」(江戸教授)

本会議への参加で新たな視点の発見

本会議に参加した東洋アルミニウム CSR推進室の東郷なり氏は「SDGsをどう経営に統合していくか、事業にどう接続するか」という課題を持っていると話す。「本会議ではSDGsについては意外に語られていなかったことが印象的だった。SDGsはゴールであり、サステナビリティの先につながっていると読み替えて参加した」と新たな視点の発見を話し、「企業の連携に感銘を受けた」と感想を述べた。

同じく楽天 サステナビリティ部の宮本夏帆氏は「日本だと考えられないほど型にはまらない事例が発表された」と本会議のセッションを目の当たりにした驚きを話した。また自社の取り組みとほとんど同じコンセプトでありながら、より進化したプログラムを行っている企業の事例を知り「自社のプログラムに活用できる」と参加の成果を話した。

参加者発のブレイクアウト・セッション案

フォーラム後半に行われたワークショップのテーマは「SB2020YOKOHAMAのブレイクアウト・セッションを創ろう」。参加者たちは普段からサステナビリティをテーマに掲げ、企業や省庁の一線で活躍するが、所属も専門もさまざま。「社会的インパクトを生み出す個人と組織のパーパス・マネジメント」「多世代コレクティブインパクトによるサーキュラーエコノミーの実現」といった多様な切り口のアイデアを創出した。

「CSR担当者ではなく、経営企画や人事、急成長企業の経営層などが話すほうが説得力があり面白い」という参加者の意見や、「知識を仕入れることが目的ではなく、マッチングを目的にし、自分たちが発信し、つながっていく」セッション案など、興味深い発表が次々に飛び出した。

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