Jリーグ、前半戦の「サプライズ」だった5人の精鋭

2019年シーズンは折り返し地点を過ぎ、後半戦がスタートしている。

今季の前半戦は、昨季下位に低迷していた横浜F・マリノスが上位に進出し、昇格組の大分トリニータも前評判を覆す躍進を見せている。

また、個人に目を向けると、それまでチームでの序列は低いと考えられていたが、シーズンが進む中でチームのキープレイヤーとして不可欠な存在にまで上り詰めた選手もいる。

今回は、後半戦の活躍にも期待したい、前半戦でサプライズを提供した選手を紹介する。

朴 一圭(横浜F・マリノス)

大学を卒業して、1年目はJFL、2年目は地域リーグ、3年目からは5シーズンもの間J3の舞台を経験。今季からマリノスに加入し、J2を経ずにJ1初挑戦のチャンスを得た。

序盤こそ控えキーパーの立ち位置だったものの、第5節のサガン鳥栖戦で飯倉大樹から先発の座を奪い、J1デビュー。見事完封に抑えると、それ以降負傷欠場となった1試合を除いて全ての試合でスタメンを張っている。

特徴はビルドアップ能力。足下の技術はもちろん、FC琉球で培った戦術的素養も強みで、最後尾からチームの配置を整理するコーチングも見ものである。

また、バスケット一家で育ったからか、ボールの手捌きも華麗で、彼1人だけを観ていても楽しめる、珍しいGKだ。

大迫 敬介(サンフレッチェ広島)

林卓人の負傷の影響により開幕スタメンに抜擢されると、6試合で1失点しかしなかった堅守を最後尾から支え、一躍ブレイクを果たした。

セービングの動きが滑らかで、パントキックの精度も高く、カウンターの起点として機能する。

当初はFIFA U-20ワールドカップ出場を目指していたが、コパ・アメリカのメンバーにサプライズ選出され、19歳で本気のチリ代表と対戦するという貴重な経験を積むことができた。

それまで有力とされていた小島亨介が、今季加入した大分トリニータでベンチにも入れずにいるという状況もあり、東京五輪のゴールマウスを任される最有力候補にも挙げられている。

南米から帰国後はベンチに甘んじているが、以前の活躍を考えれば、再びチャンスは巡ってくるだろう。

ウェリントン(ヴィッセル神戸)

当初はチームにいる7人の外国人の中で最も序列が低く、カップ戦要員として考えられていたが、VIPトリオが相次いで離脱した期間にゴールを量産し、得点ランキング上位に急浮上する活躍を披露した。

フィンク監督就任後はトップ下の新境地を開き、密集地でボールを前進させたり、後方からのビルドアップの逃げどころとしてロングボールを収めるなど、フィジカルとテクニックを兼備する自身の能力が最大限に発揮された。

また、大柄ながらプレスにも精力的で、決してスタミナがあるわけではないが、終盤にふらふらになりながらも走り回る姿はチームに活力を与える。

契約最終年により今季が日本でのラストイヤーとも噂されるが、残りのシーズンで更なる進化を期待したい。

高尾 瑠(ガンバ大阪)

プロ1年目の今季は開幕から2ヶ月ほどはU-23チームでJ3を戦っていたが、J1第12節のホームでの大阪ダービーで、宮本恒靖監督の若手積極起用のうちの1人として大抜擢されると、新布陣の3バックの右を担当しチームを勝利に導く活躍を見せた。

その後は同ポジションでスタメンを掴み、目立たなくとも堅実なプレーを披露している。

愛知県出身で、中学年代から名古屋グランパスの下部組織で育った。

名古屋U-18から進学した関西学院大学では、後に入団することになるガンバを天皇杯で破る偉業を達成している。

本職はサイドバックだが180センチを超える高さがあり、万能でこれといった欠点も見当たらないため、3バックの一角での起用は最適解かもしれない。

知念 慶(川崎フロンターレ)

レアンドロ・ダミアンが加入した今シーズンは1トップの3番手と数えられていたが、結果的に4試合連続ゴールを記録するなどコンスタントな活躍を見せ、約半数の試合でスタメン出場し、前半戦だけで昨季のゴール数を上回った。

フィジカル能力や両足のシュートのパンチ力はかねてから評価されており、今季はそれまで課題とされていた決定力が大きく改善されている。

上背はないが、リーグでは日本人トップクラスの精度を誇るポストプレーは、大迫勇也の代役確保が急務な森保一監督の目には魅力的に映っているかもしれない。

3月の親善試合コロンビア戦で、タイプの全く異なる鈴木武蔵に無理やり大迫と同じようなタスクを課していたことを考慮すれば、タイプの近い知念が代表招集される可能性もありそうだ。

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