思い出の「夏本番」を

 昨年に比べれば「暑い」のうちに入らない、と言うべきだろうか。きのうは島原、大村、長崎などで気温30度以上の真夏日になった。昨年はどうかといえば、すでに7月10日、島原などで35度以上の猛暑日を記録している▲それを始まりとして昨夏、県内のどこかで猛暑日になったのは実に通算34日もあった-と、あの“災い”をおさらいするだけで汗がじわっとにじむようだが、振り返れば昨年は、梅雨明けが平年よりも10日早く、そのぶん、夏の「本番入り」も早かった▲九州北部地方が梅雨明けしたとみられると、きのう発表された。平年よりも「入り」は21日遅く、「明け」は5日遅い。今年の梅雨はひと月足らずで、ずいぶん短かったことになる▲その割に、降水量は平年の梅雨をずっと上回ったらしい。台風などの影響で、県内が記録的な大雨に襲われたのは記憶に新しい▲そのときの紙面に「滝のような雨で怖かった」という離島に住む人の話があった。梅雨の雨が激しく降るのを「梅雨しとど」と言うらしいが、びっしょりぬれるさまを表す「しとど」の上をいくような“怖い梅雨”でもあった▲きょうの社会面に、浮輪で海にぷかぷか浮かぶ、楽しそうな子どもの写真がある。災いではない、よい思い出として記憶に残る「夏本番」でありますように。(徹)

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