夏に稼げ!北海道のスキー場

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今回のけいナビのテーマは「夏に稼ぐスキー場」。

外国人観光客の増加を受け、冬に多くの客を集めるスキー場だが、シーズンは4カ月から5カ月ほど。
夏にどう稼ぐのか。各地のスキーリゾートが大きく変わり始めている。

早朝に風に流されてくる霧が生み出す雲海。
占冠の星野リゾートトマムが2006年に専用のテラスを設置すると、瞬く間に観光客に広がった、リゾート自慢のコンテンツだ。
その麓で衣替えを始めた施設が、3年前の台風被害で営業をやめたゴルフ場。

18番ホールだった場所では、羊がたわむれる横で観光客がハンモックでくつろぐ。去年から乳牛や羊を飼い始め、今年4月に「星野ファーム」の看板を掲げた。この牧場を担当する宮武宏臣さんは「ここはリゾート開発が入る前、牛を1,000頭ぐらい飼っていた土地。原風景を取り戻したい」と話す。

牧草ロールを置く撮影スポットも、海外からの観光客にも好評だという。宮武さんは大学で農学を専攻したが、酪農は素人。そこで浜中町で酪農を営む海野泰彦さんを師匠に迎えた。今は牛乳、ソフトクリーム、バターを作っているが、今後はチーズにも挑戦したいとのこと。

人気商品はミルクスタンドのアイスクリーム。冬のスキー客にも、ゲレンデの途中にある飲食施設で、ここで作ったアイスクリームやスイーツを提供する。ただし牧場の入場は無料。乳製品の売り上げだけでは利益は望めない。それでも牧場を作った理由は、雲海に続くコンテンツの不足だ。
渡辺統括総支配人は「雲海は早朝のコンテンツ。1日中楽しんでもらいたい。そして、年間を通じて稼働を平準化させていきたい」と話す。

パウダースノーを求め、国内外からスキー客が集まるニセコも、課題は夏。ニセコに4つあるスキー場の一つ、ニセコグラン・ヒラフ。ここで夏の間、ある観光メニューを用意している。

ゴンドラでおよそ7分。
標高820メートルの中腹にあるのは、寝転ぶこともできる大きなソファ。「ニセコシエスタ」という名前で、カメラやスマホを置いて自撮りができるスタンドもある。麓では味わえない「インスタ映え」スポット。羊蹄山や倶知安の街並みと、田園風景が一望できる。

後志の留寿都村にあるルスツリゾート。
今月初めに25億円かけて建設した、新しい温泉施設が開業した。露天風呂も背もたれをつけて、洞爺湖と留寿都村の間にそびえる緑の山並みが見渡せる。

この温泉施設と直結するのが、9階建て165室前後の分譲型コンドミニアム。国内外で販売中で、スキーシーズンの来年12月から入居できる。部屋は1LDKから3LDKの8タイプ。最も安い1LDKで価格は6,315万円。最高額は3LDKの5億5,000万円。加森観光の谷口常務によると、「すでに85室ほど売れている」とのこと。

加森観光はホテル運営の一部を、2016年にアメリカの「ウェスティン」ブランドに委託。去年ジェットヘリを1機導入し、冬はスキー客を山の頂上へ、夏は遊覧飛行に使うサービスも提供。富裕層の集客を強化している。
この日、韓国から来た親子は、洞爺湖や羊蹄山を眺める5分間の遊覧に2万5,000円を使った。夏の集客の目玉に、大型ジェットコースターをもう1基建設する計画も進めている。ニセコとの近さを逆手に海外富裕層を狙う。さらに、通年雇用によって人手不足の解消にも繋げる。

札幌郊外のばんけいスキー場。先月、夏でもスキーやスノーボードなどが楽しめる施設が完成した。bSAP(ビーサップ)というこの施設、整備費2,600万円のほぼ半額を札幌市の補助金で賄った。

一般の利用者を増やす一方、オリンピックをめざすジュニアの有力選手のトレーニングの場にもなっている。トップ選手が使うスノーボードのハーフパイプ競技場に、夏も滑れる練習台も設置。市が誘致を進める2030年の冬季オリンピックへ向け、イメージアップを図る狙いだ。

「平準化」をキーワードに、固定客の囲い込み競争と人手不足を同時に解決するスキー場の取り組みが進んでいる。

(2019年7月27日11:00から放送 テレビ北海道「けいナビより)