WEC:トヨタ、新型TS050で全セッション1-2独占。ハートレー「僕の知っているクルマと驚くほど違う」

 7月23~24日、スペイン・バルセロナのカタロニア・サーキットでWEC世界耐久選手権2019/2020年シーズン公式テスト“プロローグ”が行われ、このテストに新型トヨタTS050ハイブリッドを持ち込んだTOYOTA GAZOO Racingは、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組7号車が総合トップタイムをマーク。セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組8号車が同2番手となり、プレシーズンテストを成功裏に終えた。

 2019/18年“スーパーシーズン”を6月のル・マンで終えたWECは、同年9月には早くも次のシーズンがスタートする。今回、バルセロナで初開催された公式イベントはこの2019/20年に向けたプレシーズンテストだ。

 トヨタはWEC恒例の同テストで、エアロダイナミクスなどを改良したトヨタTS050ハイブリッド2019/20年モデルを初披露すると、23日に始まった走行セッションに2台のマシンを投入した。

 テストは2日間で合計4回、都合16時間30分のセッションが設けられたが、いずれも路面温度40度、気温も30度前後とドライバー、クルマはもちろん、チームスタッフにとっても厳しいコンディションに。そのなかでトヨタは、約1カ月後に迫った開幕戦シルバーストンに向けて、空力セッティングやタイヤの評価に力を注いでいく。

 同時に、ラップタイムでは7号車が初日に暫定全体ベストとなる1分29秒991をマークし、8号車が2番手タイムを記録。テスト2日目の24日も7号車がふたたび首位に。前日のタイムを上回る1分29秒141は、このテストの総合トップタイムとなった。

 今季からハートレーが加入している8号車は、僚友から0.046秒差の1分29秒187で総合2番手につけ、これにライバルのプライベーターチーム、レベリオン・レーシングが走らせる1号車レベリオンR13・ギブソンとチームLNTの6号車ジネッタG60-LT-P1・AERが続き、さらに2台を加えたトップ6が約1秒の間に並ぶ結果となっている。

 なお、プロローグでは昨季までレベリオンに所属し、2019/20年シーズンからトヨタのリザーブ兼テストドライバーを務めるトーマス・ローランも新型トヨタTS050ハイブリッドに搭乗。7号車と8号車、双方のマシンに乗り込み自身2度目となったハイブリッドLMP1カーのドライブを終えている。

 テスト後、ローランは「今日のテストはとても上手くいった。チームメイトとともにドライブするのはいいものだね」とコメント。

「昨日、チームが良いセットアップを見つけてくれたおかげで快適にドライブすることができたよ。いくつかのロングランテストを行ったこともあり、ラップタイムは最高とは言えないけれど、多くのデータが取れたことは満足だ」

「ひとりで70ラップ以上走れたことは、4人で車両をシェアしたことを考えると悪くない結果だと思う」

 この他、7号車の可夢偉は「バルセロナでは過去にテストをしたことがないのですが、すぐに良いペースで周回し、さまざまなプログラムをこなすことができましたので、このテストには満足しています」と語れば、一貴も「暑くて大変でしたが、テストは順調で、車両セットアップやタイヤについて多くを学ぶことができました」と収穫の多いテストになったようだ。

 テストに参加したレギュラーメンバー6名のコメントは以下のとおり。

TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタTS050ハイブリッド
TOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタTS050ハイブリッド
リザーブ兼テストドライバーを務めるトーマス・ローラン

■小林可夢偉(7号車トヨタTS050ハイブリッド)

「2019/2020年仕様のTS050ハイブリッドで多くの周回をこなしテストはとても順調でした。ここバルセロナでは過去にテストをしたことがないのですが、すぐに良いペースで周回し、さまざまなプログラムをこなすことができましたので、このテストには満足しています」

「来るシーズンへ向けてのテストはこれで終わりですが、チームはこれから開幕戦シルバーストンへ向けて、多くの作業をする必要があります。新たな挑戦へ向けて準備万端にします」

■マイク・コンウェイ(7号車トヨタTS050ハイブリッド)

「これが開幕前の最後のテストというのが不思議な感じがするね。バルセロナを走るのは久しぶりで、戻ってこられてとてもうれしいよ」

「ここ数日猛暑に見舞われているためドライバーから見ると厳しい条件でのテストになったけど、多くの周回をこなすことができた。改良されたTS050ハイブリッドについても多くを学び、開幕戦シルバーストンへ向けた準備はすべて順調だ」

■ホセ・マリア・ロペス(7号車トヨタTS050ハイブリッド)

「良いテストになったし、TS050ハイブリッドのドライブをとても楽しめた。今回アップデートされた空力パッケージを最適化するために、開幕戦の前にできるだけ多くのデータを収集する必要があるんだ」

「僕自身はTOYOTA GAZOO Racingで3シーズン目となるが、またマイクと可夢偉とともに戦えることを本当に楽しみにしている。また、このチームとともに戦うことはいつでも幸せなんだ。シルバーストンはもうすぐに迫っているけれど、準備は万端だと思っているよ」

7号車トヨタTS050ハイブリッドをドライブするマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ-マリア・ロペス
TOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタTS050ハイブリッド

■中嶋一貴(8号車トヨタTS050ハイブリッド)

「個人的には2009年以来、10年ぶりに走ることとなったバルセロナを楽しみました。コースは当時と全然変わっておらず、すぐにリズムを取り戻すことができました」

「暑くて大変でしたが、テストは順調で、車両セットアップやタイヤについて多くを学ぶことができました。新しいパッケージでの初走行は順調でしたし、今回のアップデートには満足できています」

■セバスチャン・ブエミ(8号車トヨタTS050ハイブリッド)

「今回のテストにはとても満足している。開幕戦に向けたパッケージで、多くの周回をこなせたことが重要なんだ。さらなる重量を科されたことで、ライバルたちとの差はさらに縮まった。それはファンの方々にとっては良いことだと思う」

「我々のチームに取っては初めてのバルセロナだったため比較が難しいが、改良されたTS050ハイブリッドには良い感触を得ているよ。あとは開幕戦シルバーストンへ向けてさらに準備を進め、クルマからさらなるパフォーマンスを引き出さないといけないんだ」

■ブレンドン・ハートレー(8号車トヨタTS050ハイブリッド)

「この2日間のテストはとても上手くいったと思う。僕自身もTS050ハイブリッドをさらに学ぶことができた。TS050ハイブリッドは僕がこれまでよく知っていたWECの車両とは驚くほど違っていたんだ。新しい車両への理解を深めるとともに、速さを引き出せるようになって来たよ」

「僕はWECでのレースから少し離れていた。しかし、今回のテストでコース上の混雑のなかでのドライブすることにも慣れてきた。チームのエンジニアやメカニック、そしてチームメイトのドライバーもみな歓迎してくれており、これからも彼らとともに上手くやっていけると思うよ」

8号車トヨタTS050ハイブリッドのセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレー
TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタTS050ハイブリッド

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