特集 川とともに生きている(2)

京都府福知山市 広報ふくちやま2019年7月号

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「記憶が、経験が、このむらの未来を守る地図になる」

◆マイマップの取り組み
福知山市では、市全域で、自治会ごとの細かな災害リスクや避難経路をまとめた「マイマップ(地域版防災マップ)」の作成を支援しています。マイマップとは、エリアごとの防災マップに、災害が起きたときに、「いつ」「だれが」「何をするのか」といった地域内の「避難行動のタイムライン」と住んでいるからこそ分かる細かな災害リスクや避難方法、地域の人々の防災の知恵などを反映したものです。
それぞれの地域で話し合って作り上げていくもので、ワークショップには本市職員も参加し、お互いの情報を共有します。平成30年度までに91の自治会で作成してきました。蓼原自治会でも未来のために共助の仕組みづくりとともにマイマップ作成を進めています。

◆歴史を語り継ぐことが 私たちの責務
地域の歴史を紐解いてみると、およそ50年周期で大きな水害が続いたことが分かります。
特に明治40年の水害では、12軒が流出、38軒が全壊する甚大な被害がありました。

昭和初期には、むら全体の土地の嵩上げをし、3年前には念願の築堤が完了しましたが、今度は内水被害が一昨年、昨年と続いています。川のおかげで繁栄してきた港町の宿命なのかもしれません。
堤防が決壊し、大きな被害があった岡山県の真備町や茨城県常総市でも、独自に防災マップをつくるなど、前もって災害に備えていた地域では犠牲者が少なかったと聞きました。地域の住民が共に助け合い取り組めば、最悪の事態を回避できるんじゃないかと思います。

もちろん安全に暮らせるのが一番ですが、リスクがゼロになることはない。このむらに住む人の命を、そして未来を災害からどう守っていくのか、それが今の課題です。

東日本大震災では、津波の危険性を訴える言い伝えが注目されたように、歴史が教えてくれることには意味があります。子の世代、孫の世代がこのむらに住み続けていけるよう、川とともに生きるこのむらの歴史、経験を語り継ぐことが私たちの責務です。マイマップにはそんな思いを込めていければと思っています。

▽いち早く、水害に備える
先代から自転車店を営む迫田さん。浸水すれば商品は売り物にならなくなってしまいます。福知山地点の水位が5メートルを超えたら商品を高台に移動させるそうです。
「地域のことも、商売のこともどちらも大切。どちらも守っていくためには、人一倍早い避難行動が必要なんです。結果的に何もなかったということも多いですが、それでも何かあってからでは遅いですから」
蓼原の防災委員のひとりとして、マイマップ作成にも関わっています。

「自分たちのまちは、自分たちで守る。これからますます自助と共助が必要です。マイマップを通じて経験した者にしか分からないことを地域内、行政とも共有することが大切だと思います」

蓼原自治会防災委員
迫田厚さん

「このむらには、つながりがある」

◆お互いに助け合うことができている
「なんでそんな低い土地に住むんや」と言う人もいます。それでも、まだふるさとを後にした人は少ないと迫田さんは言います。

「このむらにはつながりがある。夜中の水害では、懐中電灯でコミュニケーションを取って励まし合うんですよ。普段からみんな話し合うことも多い。だから意思の疎通ができとるんやと思います。ほら、むら全体がぐるっと向き合って、輪のようになっとるでしょ」
仁張さんも話します。
「このむらは、水害に立ち向かうために団結し始めていると思う。お互いを助け合い、気遣うことができている。そんなむらなんです」

◆水害のない日々を願って
毎年7月に行われる、蓼原自慢の「水無月祭り」。蓼原で写真館を営み、祭りの記録を撮り続けている新治貢(しんじみつぐ)さんが教えてくれました。
「自分たちだけで協賛を集めて運営する、全員参加の祭りです。毎年、蓼原川に光をテーマにした手作りの装飾をして、それがきれいなんですよ」
むらの元気と絆が光になる。
いつか水害のない日々を願って。

▽蓼原水無月祭り
日時:7月27日(土)午後3時~
場所:大江町蓼原

水害がない年になることを願って毎年行われています。蓼原の若手が中心になって、全員参加で盛り上げる一大行事で、毎年1,000人もの人々が集まる、大江町でも有数のイベントです。「光」をテーマに工夫を凝らした電飾や出店、ヨサコイ、ベリーダンスといったステージショーなどが楽しめます。
また、かつてこの地域を走っていた「北丹鉄道」の大型模型を耕運機を使って走らせるなど、この地域ならではの光景も。
昨年は、7月豪雨災害の直後だったため、史上はじめて中止となりました。