【社会人野球】5連投のリリーフエース トヨタのベテランが都市対抗野球決勝で感じた「幸せ」

JFE東日本との決勝戦に登板したトヨタ自動車・佐竹功年【写真:荒川祐史】

5試合に登板し9イニングで失点はたった1、久慈賞を獲得

 第90回都市対抗野球大会で惜しく準優勝に終わったトヨタ自動車。優勝したJFE東日本の須田幸太投手は初戦の2回戦から5戦すべてに登板し、勝利に貢献。橋戸賞を獲得したが、トヨタ自動車のベテラン・佐竹功年投手も初戦の2回戦から決勝まで5試合すべてに登板。準決勝まで勝利に導き、決勝でも2回無失点と円熟味のある投球を披露。強打のJFE東日本打線を封じ、味方に流れを呼び込もうとしていた。久慈賞を受賞し、リリーフエースの存在を強く印象付けた。

 目は死んではいなかった。2点を追う9回。味方打線が須田の前に封じられていっても、表情に曇りはひとつもない。「都市対抗野球はお祭りだと思っています。予選は苦しいですけど、ここで自分の力を見せるため1年やってきている。プレッシャーを感じたり、逃げてる姿は見せたくない。生き生きとして、真剣勝負の中、表情でプレーしている方が見ている人も楽しいと思うんです」。社会人野球14年目を迎える佐竹がたどりついた境地だ。

「もちろん、優勝した方がいいですけど、社会人野球選手が決勝で戦える幸せを感じながら投げました。(相手もリリーフ・須田が好投したが)相手投手と試合をするわけでないので、どうやってバッターを抑えようかと考えていました」

 一人一人、丁寧な投球で打者に向かっていった。

 2016年には優勝も経験。その喜びを若い選手に感じてもらいたかった。決勝は失策から招いた失点もあった。「うちは守りのチーム。やれること、できることをしっかりやらないといけない。(4回の)4失点した場面ではうちらしくない。そうなったら勝てない。明日から、ちゃんとやれることはやらないと再認識しましたね」。重量のある久慈賞のトロフィーを片手に、野球道具の入った遠征バッグも持って、東京ドームを後にした。佐竹は一試合、そして、ワンプレーの重みも感じていた。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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