【MLB】菊池雄星、甲子園出場の母校・花巻東を祝福 過密日程には「考えないといけない」

外野で投球練習を行うマリナーズ・菊池雄星【写真:木崎英夫】

大船渡・佐々木の起用法には「投げる投げないということが問題ではなく…」

 マリナーズの菊池雄星投手が前日24日(日本時間25日)に2年連続の甲子園出場を決めた母校、花巻東高の奮闘に目を細めた。「嬉しいです。僕らの時もそういう(機動力を使った)戦い方をしてました。花巻東らしい戦い方をしているなと思いました」。7月20日の初戦から決勝までの4試合全てをインターネットで観戦したそうで、前日はデーゲームだったため、大船渡との決戦は試合開始から終了までをシアトル郊外の自宅で見届けた。

 春夏合わせ3度の甲子園出場経験を持つ菊池は、後輩たちに向けてこんなメッセージを贈る。

「今思い出しても高校野球は最高だったなぁと、僕も思い出す時が多いです。最後まで諦めずに頑張ってほしい」

 岩手県大会2年連続の頂点を極めた母校に思いを寄せる一方で、最速160キロの快速球を披露しながらも、投球過多から母校との戦いのマウンドには上がらなかった注目の大船渡・佐々木朗希投手については、「断片的にしか見てない僕が偉そうなことというか、変なことは言えない」と前置きした上で、菊池は持論を展開した。

「毎年、投げ過ぎが話題として出るが、投げる投げないということが問題ではなく、そういう日程にさせてしまっているということをもう少し全体的に考えていかなきゃいけないなというふうに僕は思います。そこをクリアしていかなければいけない時期に来ていると思います」

「大谷にしても佐々木君にしても漫画の主人公みたいなカッコよさがある」

 将来を考えた上での決断だったとされる佐々木朗希投手の決勝戦登板回避だが、菊池には3年の夏に出場した甲子園で痛みを押して登板をした経験がある。準決勝の中京大中京戦では背筋痛で先発を譲り途中からマウンドに上がったが、痛みが増し11球で降板。その後の精密検査で左の肋骨が骨折していたことが判明した。菊池はその時の心境をこう話した。

「高校生にとっては、『今、この瞬間』みたいなところがある。でも、僕は幸運にもその後、こうやって投げてるわけですから。逆にそれで怪我をしてしまって、大学以降投げられないというピッチャーも大勢いるわけなんでね。だからこそ僕が言うのは難しい部分はあります。ただ厳しい日程なのは間違いないですよね」

 自身の苦い経験を踏まえて、選手の故障を防止するための過密日程解消を改めて強調した。

 また、岩手県大会4回戦の盛岡四戦で160キロの直球を披露した佐々木朗希投手の潜在能力には「1球見ただけで普通じゃないというのはわります」と度肝を抜かれた。そして続けた。

「大谷にしても佐々木君にしても漫画の主人公みたいなカッコよさがある。ルックスも含めてね。投げ方も含めて打ち方もね、カッコいい。いい意味で洗練されているというか。カッコいいなと思いながら見てますけどね。僕にそういう要素はなかったので、残念ながら(笑)。同じ岩手県からこうやって、今後も応援したいというか、僕も楽しみにしたいなと思います」

 故郷岩手で日本中が注目した母校・花巻東と好敵手・大船渡の話題に区切りをつけるように左腕は言った。「僕自身も本当に後輩たちに元気をもらいました」。明日26日(同27日)のタイガース戦で5勝目のマウンドに挑む。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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