常盤貴子が「グッドワイフ」で魅せた美しさ。自身が感じる“強い女性”“仕事と家庭を両立の秘訣”とは?

常盤貴子が「グッドワイフ」で魅せた美しさ。自身が感じる“強い女性”“仕事と家庭を両立の秘訣”とは?

子どもを守るために16年ぶりに弁護士に復帰した女性の奮闘と成長を描き、好評を博した連続ドラマ「グッドワイフ」(TBS系)。「ビューティフルライフ~ふたりでいた日々~」(2000年)以来、約19年ぶりに「日曜劇場」枠に主演した常盤貴子が、主人公の蓮見杏子を好演したことも記憶に新しい。このたび、同作のDVDとBlu-rayが7月26日に発売されるにあたり、常盤にインタビューを敢行。久しぶりの連ドラ出演を終えての心境や、撮影秘話、主人公のように仕事と家庭を両立する秘訣などについて話を聞いた。

──約19年ぶりに「日曜劇場」に主演されるということも話題になりましたが、クランクイン前の心境はどのようなものでしたか?

「そもそも連続ドラマ自体が久しぶりだったので、やっぱり怖かったです。いろんなことが、私の知っているものとはたぶん違うだろうし、自分が連続ドラマの撮影に入った時にどうなるかが、もうまったく想像できなかったし…。前にやっていた時は、ずーっとやり続けていたというのもあって、とにかく大変な日々という印象だけでした。家に帰って、お風呂にお湯をためて、お風呂に浸かりながら夜食を食べて台本も読む、みたいな。そんな生活だった記憶があるから、あれを今できる気がしないとおびえていた部分もあったんです。でも、いざ始まってみると、まったくそんなことにはならず、ちゃんと時間もいただけて落ち着いてセリフも覚えられたし、連続ドラマ撮影でも、こんなリズムでできるんだっていうぐらい、すごく穏やかな日々だったのが印象的でした。もちろん皆さんのご配慮あってこそそうなったのだと思いますが、たぶん人選も良かったのではないでしょうか。キャストにもスタッフにもギスギスした人が一人もいなかったし、本当に笑いが絶えない、楽しい現場でした」

──放送前のPR番組で見た時に、皆さんすごく楽しそうな雰囲気で。今お話しを聞いたら、本当にいいチームだったんだなと思いました。

「仲が良いからといっていい作品が出来上がるとは限らないということは、いつも思っているんです。むしろ仲が悪いくらいの方が緊張感があって、意外と良かったりすることも得てしてあるんですけど、この作品に関してはそうではなかったみたいで。その空気感が法律事務所のシーンに生かされていた気がしますし、本当にミラクルなドラマだったなぁと思います」

──法律事務所は、賀来千香子さん、小泉孝太郎さん、水原希子さん、北村匠海さんというメンバーでしたが、どんな雰囲気でしたか?

「撮影も、それ以外の時も、つねに楽しかったです。家族っぽいというか、いい距離感もありつつ、お互いに信頼し合えている感じがすごくあって。みんなが穏やかにいられたので、撮影もリラックスしてできたんですよね。“いろんな案件を一緒に戦ってきた仲間”っていう感じがすごくしていました」

──その中でムードメーカーというと?

「孝太郎くんかな。意外性の塊というか、聞けば聞くほど変わっていて、何でもない話をみんなでしていても、『えっ?』『今サラッと言ったけどヘンだよね?』みたいなことがよくあって、みんなでそれを掘り下げていくっていうことが結構ありました。それで、後から賀来さんと希子ちゃんと女子3人で『さっきの孝太郎くんの発言、ありえないよねぇ』『ないない~』みたいなことを言ったり(笑)。全員でいても楽しいし、女子チームだけでも楽しいし、どんな組み合わせでいてもリラックスしていられるっていう珍しい現場でした」

──唐沢寿明さんをはじめ、吉田鋼太郎さん、滝藤賢一さんといった東京地検特捜部の皆さんとはいかがでしたか?

「検事チームとは、こちらはこちらで素晴らしいベテランの俳優さんがそろっていたので緊張感がすごくあって、また別のドラマのような感じでした。でも、本番と、それまでの落差というか緩急がすごくて、『うわ、これに慣れなきゃ!』と思って。そのメリハリも楽しかったです」

──本作は主人公が女性ですし、脚本の篠﨑絵里子さんやメインの演出を手がけられた塚原あゆ子さんも女性ということで、何か印象的なやりとりなどはありましたか?

「クランクインする前に、篠﨑さんと塚原さんと、皆さんでお食事をさせていただいて、その時に、話題になったのは、それこそ“不倫”について。どこまで許せるのか、許せないのかみたいな感じで、女子トークになっていたのは面白かったですね。『女子の意見としてどう思う?』みたいな感じだったので、あぁ、こういうのを生かしてもらえる場があるんだ、と」

──まさに蓮見杏子と、杏子を法律事務所に誘った司法修習生時代の同期・多田征大(小泉)との関係は、視聴者も毎回とてももどかしく見ていたと思います。夫・壮一郎(唐沢)がいるけれど、杏子に思いを寄せている多田先生も確実に大きな存在だし…という。

「私も、もう多田先生でいいんじゃないかって何回も思っていました(笑)。でも、やっぱり子どものこともあるし、同期っていうのもあるし、そうならない方が逆にいいなぁとも思っていて。そっちにいっちゃうのは簡単だけど、いかない良さみたいなのも、なかなかしびれるなぁって(笑)。大人はそういうところがちょっと不器用になるというか。でも、うまくいかないところもまたよかったりしますよね」

──杏子が、夫の問題を抱えながら、仕事と家庭を両立させようと奮闘する姿も、働く女性たちの共感を呼んでいたと思いますが、常盤さんご自身は、仕事と家庭を両立するために大切だなと思うことはありますか?

「ドラマでもそうだったけど、やっぱり家族のサポートが一番かもしれない。杏子の子どもはすごくお母さん思いのいい子たちでしたよね。実際の彼らも本当にピュアで、いつも会うのが楽しみだったんです。心が洗われて、よし、頑張ろう!って毎回思えていました」

──仕事と家庭の切り替えに関しては、何か心がけていることはありますか?

「なんだろう…でも私は、自然と切り替わっているかな。家に帰って、例えばお料理したり、お皿を洗ったりしている時は無心になっているし、その時間を経て、また台本に向き合う、みたいな。たぶん昔の方が不器用だったなと思います。もうずっと作品のことが頭にあるから、無になる時間がほとんどなかったんでしょうね。誰かのペースに合わせる必要がなかったから無になる必要もなかったんだろうけど。でもやっぱり、作品のことばかりになってしまうと相手の時間も奪ってしまいかねないですもんね。そういう意味では、久しぶりに連ドラをやってみて、自分も変わったなぁと思いました。年月と経験を重ねたからだと思いますけど、すごく穏やかに向き合えているなって」

──本作では、常盤さんの美しさとかっこよさが際立っていたのも印象的でした。

「いやいや、それは皆さんのおかげで…。だからこそいい状態を保たなきゃいけないと思って頑張りましたけど、でも本当に、大人の女性がかっこよく見えるドラマでしたよね。それ自体が珍しいなと思っていたし、こういうドラマが皆さんに評価していただけたというのが、『あ~、なんか日本も変わってきたな』ってすごく思います。海外ドラマが原作ですが、こういうものを求めている人もたくさんいるっていうことかな、って」

──確かに始まる前、ちょっと珍しいなと思いました。日曜劇場ならではの硬派さもあるけど、スキャンダラスな部分もあって、“戦うヒロイン”という。

「そこは最初、実はすごく迷ったんです! 日曜劇場の枠にふさわしく、キャッチーでポップな感じで、熱く行かなきゃいけないのかなって。だけど『グッドワイフ』の良さってそこじゃないていうのがあって、私は自分が考えていた中の一番下(のテンション)から行ったんですけど、正直賭けだったんですよ。プロデューサー陣の顔色をうかがいながら、これで大丈夫かな…って(笑)。もしそのまま行けたら、かっこいいだろうなぁ、そういうヒロインの姿を視聴者の皆さんに見ていただけたらいいなぁって思っていたら、結果、塚原演出でちょっとポップな部分も入れてくれつつ、私が最初に行った下からの“ちょい上げ”ぐらいでやらせてもらえて。それであの世界観ができたのかなと思います」

──大変な状況に置かれているのに肝が据わっている、杏子のしなやかさがすごくすてきだなと思って見ていました。

「塚原演出がすごく効いていたんだと思います。振り幅を大きくしていただいて、本当によかったです」

──常盤さんが思う“強い女性”とは?

「今言っていただけたように、しなやかであることなのかな。もしかしたら蓮見杏子という役をいただけたことでそう思えているのかもしれないですがしならないとポキッと折れちゃうけど、竹のようにしなることでずっとそこに立っていられる。そういう強さはあるんじゃないかなと思いますね」

──では最後に、DVDとBlu-rayの発売を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします!

「とにかくすごく楽しくて、私たちキャストもスタッフも、みんな大好きな作品でしたので、こうやってまた見てもらえる機会ができることは、私たちにとって、励みにもなります。少し時間が経ってから改めて見るとどうなんだろうというのも気になりますし、『最近見たんですけど』という感想を聞けたりするとまたうれしいので、ぜひご覧いただければと思います」

【プロフィール】


常盤貴子(ときわ たかこ)
1972年4月30日生まれ。93年に放送された連続ドラマ「悪魔のKISS」(フジテレビ系)で鮮烈な印象を残し、「愛していると言ってくれ」「ビューティフルライフ~ふたりでいた日々~」(ともにTBS系)などの数々のドラマや、映画、舞台で活躍中。近作は3月に公開された映画「こどもしょくどう」(日向寺太郎監督)、ドラマ「遙かなる山の呼び声」(NHK BSプレミアム)、NHK広島放送局開局90年ドラマ「夕凪の街 桜の国 2018」(NHK総合)など。映画「海辺の映画館-キネマの玉手箱-」(大林宣彦監督)の公開を控える。

【作品情報】


「グッドワイフ」

発売中
DVD-BOX 6枚組(本編ディスク5枚+特典ディスク1枚/¥22,572・税込)
Blu-ray BOX 4枚組(本編+映像特典/¥28,512・税込)

キャスト/常盤貴子 小泉孝太郎 水原希子 北村匠海 滝藤賢一 賀来千香子 吉田鋼太郎 唐沢寿明

蓮見杏子 (常盤貴子) は、かつて優秀な若手弁護士として活躍していたが、出産を機に引退。専業主婦として、2人の子どもと夫である東京地方検察庁・特捜部長の壮一郎 (唐沢寿明) と共に、幸せな日々を送っていた。しかし、壮一郎の汚職疑惑、さらに女性スキャンダルまで発覚し、法曹界を揺るがす大スキャンダルにマスコミ報道は過熱。記者会見で壮一郎は、汚職は否定するが、女性との関係については認めて謝罪する。ところが壮一郎は逮捕されてしまう。杏子は夫の裏切りにショックを受けるが、家族のために16年振りの弁護士復帰を決意する。

発売元/TBS 販売元/TCエンタテインメント

取材・文/四戸咲子 撮影/萩庭桂太 衣装協力/アクリス(アクリスジャパン)、マザープラチナ(As−meエステール)

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