「ペンギン王国」歩み描く 節目の年、集大成出版

今回出版した「長崎ペンギン物語」。右ページ下には当時皇太子ご夫妻だった、上皇ご夫妻が長崎水族館を訪れた時の写真

 長崎ペンギン水族館(長崎市宿町)の前身、長崎水族館の元館長、白井和夫さん(92)が「長崎ペンギン物語」を出版した。1959年、長崎にペンギンがやってきて以降の同館の歩みや飼育員の苦労などを振り返っている。
 白井さんは同年、長崎水族館に入社。以来、ペンギンの飼育に携わり、このうち15年間は館長も務めた。
 白井さんのペンギンに関する書籍は3冊目。本書は6章で構成している。60年前、ノウハウのない中での受け入れや、3世ペンギンの誕生などについて回顧。次第に個体数が増え「ペンギン王国」となったことなどが記されている。
 学芸員の資格を持つ白井さんは、ペンギンの飼育羽数の推移のグラフや系図などのデータを盛り込み、繁殖について詳しく説明している。写真もふんだんに掲載。この中には、69年に来館した現在の上皇ご夫妻(当時皇太子ご夫妻)を案内する白井さんの姿も納められている。
 ペンギンが長崎に来て60周年の節目に一般社団法人長崎ロープウェイ・水族館の池田尚己理事長が出版を打診。体調面を考え一度は断ったが、集大成として書くことを決めた。
 26日に長崎市役所を訪れた白井さんは「(ペンギンの)両親の絆の固さ、子どもへの愛情の深さを知って、動物を愛護する気持ちを高めてほしい」と話した。
 A5判、188ページ、1728円。問い合わせは長崎文献社(電095.823.5247)。

「長崎ペンギン物語」について説明する白井さん=長崎市役所

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