【やまゆり園事件3年】暮らしやすい社会に 相模原

犠牲者を悼んで黙とうする参加者=相模原市緑区の千木良公民館、2019年7月26日撮影

 津久井やまゆり園事件について考える「やまゆり園犠牲者を偲(しの)ぶ会」が26日、事件現場近くの千木良公民館(相模原市緑区)で開かれた。地元住民らでつくる「共に生きる社会を考える会」の主催。約50人が参加し、障害者が暮らしやすい社会の在り方について意見を交わした。

 同会共同代表の宮崎昭子さん(82)が「どうして事件が起きてしまったのか、どうしてこんな社会になってしまったのか、一人一人が考えるべきだと思う」とあいさつした。

 続いて地方自治研究者の池上洋通さん(77)が講演。「事件は特異な人が偶然起こしたものではない。日本社会そのものを映し出したものだ」と指摘した。

 旧優生保護法(1948~96年)下で多くの障害者に不妊手術が強いられたことを例に、「現在でも障害者への差別や偏見が根強い」と説明。「障害者に対する私たちの価値観を今、本気になって見直さないといけない」と力を込めた。

 会場からは「事件がなぜ起き、なぜ防げなかったのかを考え続けるべきだ」「障害者施設の在り方もしっかりと考えたい」などの意見が出された。

 考える会は「事件を忘れない、風化させない、後世に伝える」ことを目的に活動し、毎年偲ぶ会を開いている。

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