夜行列車や夜行バス…快適で高コスパな「旅の宿」はどれ?

旅行の計画をする時に決める必要がある「旅の宿」。夜行列車、夜行バス、夜行フェリーなど、夜間の長距離移動と宿泊を兼ねた手段の選択肢も、近年は多様です。

しかし、気になるのはコスト面や実際の快適さ。どのような具合なのか、それぞれのタイプごとに検討していきます。


移動が効率的な「夜行列車」

夜行列車は効率よく移動でき、かつ、アクシデントが起こらない限り、時間に正確なのが最大のメリットです。

特に「青春18きっぷ」のシーズンになると、臨時快速「ムーンライトながら」に乗って、一夜を明かすユーザーも多いことでしょう。シーズン中、毎日運行してもらいたいところですが、利用客の集中しそうな時期にしか運転されないのが難点です。

青春18きっぷで夜行列車に乗る場合、日をまたぐと青春18日きっぷを2回分使用することになります。しかし、通常の乗車券と組み合わせることで、青春18きっぷの使用開始日を1日遅らせることができます。

たとえばムーンライトながらの場合、大垣行きは小田原まで、東京行きは豊橋までの乗車券を購入してください。つまり、日付が変わる最初の駅までは、通常の乗車券を利用する、ということです。

昔は“夜汽車の象徴”といえた寝台特急(特にブルートレイン)ですが、利用客の減少と車両の老朽化により、1993年から切り捨てが目立つようになりました。現在、時刻表に掲載されている寝台特急は東京―高松間の「サンライズ瀬戸」、東京―出雲市間の「サンライズ出雲」のみです。

JR西日本とJR東海が共同開発した285系SUNRISE EXPRESS

この列車の寝台車はすべて個室(1人用中心、コンセント付き)。また、横になれる寝台料金不要のノビノビ座席、シャワールームが装備されています。利用するには3号車もしくは10号車に設置されたシャワーカード販売機(1人320円)で、シャワーカードを購入してください(早い者勝ち)。なお、A寝台個室シングルDXの利用客は、無料でシャワーを浴びることができます。

安価だが遅延もある「夜行バス」

夜行バスは、運賃がJRグループの普通運賃並み、もしくは驚愕の安さを誇るほか、「かゆいところに目が届く」と言いたくなるほど、網の目のように張り巡らす広大な路線網で、人々の心をつかみました。

「ドリーム号」で使われる車両の座席

夜行バスは2人掛けを並べた4列シート、1人掛けを並べた3列シートが中心です。近年は、1人掛けを左右に配した2列シートのハイグレードを売りにするバスも現れました。また、コンセントが装備されており、携帯電話の充電も可能です。

大半の座席のシートピッチは、鉄道の特急車両に比べて狭いことは否めませんが、その分、座席下には空間があり、足を伸ばすことができます。

夜行バスのパイオニア、「ドリーム号」

夜行バスの中で特に運賃の低いものは車内にトイレがなく、用を足すには高速道路のサービスエリア、パーキングエリア数ヵ所に限定されます。くれぐれも乗車前に用を済ます、車内では適度な水分摂取するなどの注意が必要です。

高速バス全般でいえるのは、道路状況により、定刻より最大約30分早く目的地に到着する場合があります(その分、睡眠時間は削られます)。また、渋滞により遅延することもありますので、スケジュールに余裕を持たせたほうがいいかもしれません。

フェリーの2等船室は充電に注意

フェリーの夜行便は、八戸港―苫小牧フェリーターミナル間、青森フェリーターミナル―函館フェリーターミナル間、八幡浜港―別府港間、鹿児島新港―那覇港間などがあります。

八幡浜港―別府港間を結ぶ宇和島運輸フェリー

主に個室中心の1等、桟敷中心の2等に分かれています。家族連れやグループといった複数は1等、ひとり旅などは2等を選択する乗客が多いようです。

2等船室は、1等船室に比べて安いというメリットがある半面、陣地は“早い者勝ち”なので、多客期は早く乗船口に並ばなければならないのがデメリットでしょう。私がオススメする2等船室の“陣地”は「コンセントがあるところ」です。言うまでもなく、充電ができるからです。

宇和島運輸フェリーの2等船室

効率的な移動を主眼に置いているため、ホテル以外の寝泊まりで携帯電話やノートパソコンの充電に悩む人も多いでしょう。満タンに充電しておけば、着いたときに晴ればれとした気分でフェリーを出ることができます。

充電で気をつけなければならないのは、マナーはもちろん、航海中は携帯電話の電波は圏外になって、通話やメールの送受信はできないことです。バッテリーを浪費しないためにも航海中は電源OFFをオススメします。

それぞれ一長一短ある列車、バス、フェリーの夜間移動。目的やシーンに合わせて使い分けできると、旅行がより豊かになりそうです。

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