諫干訴訟で上告審弁論 請求異議 判決期日は後日指定

諫干請求異議訴訟の構図

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門確定判決を巡り、開門を強制しないよう国が漁業者に求めた請求異議訴訟の上告審弁論が26日、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)で開かれ、結審した。漁業者側は「100億円の基金をつくっても、開門しない限り有明海は再生しない」とあらためて開門を訴えた。国は上告棄却を求めた。【24面に関連記事】
 判決期日は後日指定する。開門確定判決を事実上無効化した福岡高裁の判断が見直されるかが焦点となる。
 同事業を巡っては、漁業者が起こした開門請求訴訟で、福岡高裁が2010年12月、国に「3年猶予後の13年12月から5年間開放」を命じ、当時の政権が上告せず確定。14年、国は確定判決の無効化を求め、請求異議訴訟を起こした。
 昨年7月の福岡高裁判決は「漁業者の共同漁業権は13年8月末の更新期限で消滅し、開門請求権も失われた」と判断。国の請求を認め、開門確定判決を事実上「無効」とした。漁業者側は「確定判決の効力に関する法解釈が誤っている」として最高裁に上告、受理された。最高裁は二審の結論を変更する際に弁論を開くのが通例とされている。
 弁論で漁業者側は「確定判決から3年の猶予期間、その後の5年間にわたる排水門の開放の期間まで開門請求権が継続されている」と訴え、「話し合いによる解決へ向けた適切な判断を期待する」と述べた。
 一方、国側は「13年8月末で開門請求権は消滅している」とあらためて強調し、▽漁獲量は増加傾向に転じた▽防災機能を維持するための対策工事の実施は現実的に不可能-などと確定判決後に生じた事情を挙げ、上告棄却を求めた。

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