コーヒーマニア必見、HARIO“挽き方改革“にバリスタ驚愕

オシャレなカフェでドリップコーヒーを注文すると、よく見かけるようになったドリップの器具「V60」。日本のコーヒー器具メーカー「HARIO」の主力商品です。

この商品は2010年頃、バリスタ世界大会の優勝者ジャームス・ホフマンらが愛用していることで、世界的に知名度が向上。HARIOは今、コーヒーのサードウェーブの“波”に乗っている存在といえます。

そんな同社が打ち出した次の一手は、コーヒーの”挽き方改革“。コーヒーの豆挽きが手軽になるという新商品は、どんな特徴を備えているのでしょうか。


浅煎り豆も問題なく挽ける

HARIOが新たに開発した「スマートG電動ハンディーコーヒーグラインダー」の大きさは、全長18センチメートル。簡単に持ち運びのできるサイズです。

スマートG電動ハンディーコーヒーグラインダー

使い方は、必要な量の豆をミルのホッパーに入れて、グラインダーのONボタンを押しっぱなしにします。豆の焙煎度合によって時間は異なりますが、1分前後で豆が挽き終わります。また、手挽き用のハンドルもついているため、使い分けも可能です。

電動ミルは通常、持ち運びには適さないサイズのため、家庭で楽しむものでした。一方、手動のミルは持ち運びが可能ですが、挽くために時間や手間がかかっていました。

HARIOの倉永純一取締役によると、この製品の開発には5年かかったといいます。過去の商品で例がなかったリチウムイオン蓄電池を搭載するため、技術、コストの壁に何度も直面したそうです。

さらに、小型でありながら十分なパワーがあることも特徴。コーヒー抽出の世界大会「WORLD BREWERS CUP」の2016年世界チャンピオンであるバリスタの粕谷哲氏は「モーターのトルクが大きい。最近主流の浅煎りの豆も問題なく挽ける(パワーがある)」と性能の高さを認めています。

クラファンを活用したワケ

今回の商品の開発にあたって、HARIOはクラウドファンディングも活用しました。いくつかのプランがありますが、たとえば一般向けの販売価格が1万3,824円(税込み、以下同)のところ、クラウドファンディングで1万0,800円を支援すれば、グラインダーとコーヒー豆200グラムが手に入る仕組みです。

クラウドファンディングといえば、通常は資金力のない個人や小規模店舗が資金調達や知名度獲得のために行うのが主流。一方、HARIOはコーヒー器具メーカーとして70年以上の歴史を誇ります。もともとは耐熱ガラスメーカーとして技術の高さが評価されていました。

会見に臨んだHARIOの倉永取締役(左)とMakuakeの木内取締役

なぜ、すでに知名度もあり、サードウェーブの波にも乗っている老舗メーカーが、あえてこのような取り組みをしたのでしょうか。その理由について、前出の倉永取締役は「今までのコーヒーのコアユーザーだけでなく、豆を挽いたことのないより多くの方に使ってほしい」と力説します。

挽くのを敬遠する若者がターゲット

クラウドファンディングの組成を担当した「Makuake」の木内文昭取締役も、「今まではどちらかというと、コーヒーは一人で楽しむ、時間や空間に浸って、ゆっくりと楽しむものでした。今回は、おもてなし、エンターテインメントとしてコーヒーをとらえ、コーヒーが好きだけど『挽くほどでは』という人に、新たな体験として味わってもらいたい」と言います。

つまり、「買って飲むけど、自分で挽いては飲まない」という層をターゲットにしているわけです。商品の紹介動画では、キャンプ場やホームパーティーで、若者たちが大勢でワイワイとコーヒーを楽しむ様子が描かれていました。確かに従来のコーヒー像とは違います。

倉永取締役は「こんな場所で、こんなに簡単にコーヒー豆を挽ける、という驚きを体験してもらいたい」と熱く語ります。はたしてHARIOの試みは奏功するのでしょうか。

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